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担任から叱られ続け、友達から注意され続けた 多動なSくんへの対応

Sくんは授業中の活動が少ない時、立ち歩いたり、おしゃべりをしたりしていた。3つの対応をすることで、集中して意欲的に学習できるようになった。

広島県公立小学校教諭 藤原司



昨年度、立ち歩きやおしゃべりが止まらなかったSくん。担任から叱られ続けてきました。そのうえ、友達からも注意され続けてきました。注意されると、担任や友達に暴言や暴力をふるっていました。
今年度、担任をする中で、多動なSくんへの対応を学びました。

①    教師の説明を少なくし、活動量を確保する。
②    立ち歩きやおしゃべりをしてはいけない理由を説明する。
③    非言語の対応をする。

①    教師の説明を少なくし、活動量を確保する。
算数を例にします。24×2の筆算。「まず2×4=8をします。次に2×2=4をします。答えは48です」この長い説明を聞いていると、Sくんはおしゃべりを始めます。「先生の後に言います。2×4=8(子供が読む)。2×2=4(子供が読む)。答え48(子供が読む)」のように、先生の後に読ませます。すると、活動量が増えるため、立ち歩きやおしゃべりをする隙がなくなります。

②    立ち歩きやおしゃべりをしてはいけない理由を説明する。
Sくんは時々、「なんで立ち歩き(おしゃべり)をしてはいけないの?」と聞いてきました。教師にとっての当たり前というのは通用しません。理由を説明(「立ち歩くと、周りの友達はSくんの動きが気になってお勉強に集中できなくなるんだ」など)することで、本人は納得して初めて心が安定し、落ち着いて学習できます。説明したことで立ち歩きはなくなりましたが、おしゃべりは続きました。何度も何度も理由を説明しました。

③    非言語の対応をする。
おしゃべりに対して、声掛けや注意で対応すると、教師へのおしゃべりが止まらなくなります。構ってくれたと感じて、余計におしゃべりがヒートアップするのです。口に人差し指をあてるなど、「静かにしなさい」ということが分かるような非言語対応をします。これは、教師の声で周りの子の集中を妨げることがないので、おすすめの対応です。

多動なSくんへの3つの対応を紹介しました。どれも重要なことですが、実は小手先の技術に過ぎません。一番大切なのは、「楽しく、活動的な授業をする」ことです。楽しく、活動的であれば(例:教師が笑顔で楽しそうに授業をし、子供の発言量、作業量が多い授業)、立ち歩きやおしゃべりをすることなく、集中して取り組めます。さらに、授業への意欲的な参加行動を「褒める」ことができ、望ましい行動が継続するようになります。毎回楽しい授業を行うことは困難なことかもしれませんが、その努力は続けていくべきだと考えます。そして、同じような子供への対応に悩まれている先生は、上記3つの対応をし、多動な子が集中し、意欲的に学習できるようにさせていただきたいです。


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