見出し画像

特別支援教育・悩みが消えるQA② トラブルが減らない小学四年生男子への対応は?

(回答者:小嶋悠紀)

Q トラブルが減らない小学校四年生男子への対応は?

 小学校四年生男子。特別支援・情緒学級在籍。自閉スペクトラム症。薬は服用していませんが、作業療法のため月2回通院しています。
 支援級の中で、自分より年下や、言い返せない友達に対して、自分の思い通りにしようと、命令をしたり、悪口を言ったりしてしまいます。ひどい時には手が出てしまいます。鉛筆で刺してけがをさせてしまったこともありました。
 1学期末には、担任である私の指示は聞くようになってきましたが、私が見ていないところでは他の児童とトラブルを起こしてしまいます。その都度別室に連れて行き、言い聞かせているのですが、原因が自分にあっても必ず「相手が悪い」と言い、トラブルは減りません。担任としてこれ以上、何ができるでしょうか。

A 教師の介入機会を多くしましょう。

 できることはたくさんあります。
 まずこの子の支援の可能性として重要なことは、
「先生の指示を聞くようになってきた」
ということです。
 これはつまり先生との「ラポール関係が築けてきた」という証拠です。
 これを入り口にします。

1つめの方針
「担任の先生が見ていないという状況を徹底的に減らす」

 とにかく、「先生という存在」が問題行動を遠ざける「プロテクティブファクター(保護因子)」になっているので、教師の介入機会を多くすることです。
 私は休み時間もこのような子の近くでずっと遊んでいて、問題行動が出る前に介入していました。

2つめの方針
「問題行動になる前に介入しよう」

 問題行動の出る前に介入することで、
「どのタイミングで止めれば良かったのか」
「どう対応すれば良かったのか」
ということの見本を見せる事ができます。
 この先生の質問の中にある、「ひどい状況」にまで行かせないことが大切な支援方針です。

3つめの方針
「スキルの再習得が必要」

 思い通りにさせようと命令してしまうのは誤学習しているからです。
 それに代わる正しい行動をスキルとして教え、その行動の方が心地よいことを体感させて、褒めて定着させます。
 なお、これらの方針で対応しても時間がかかって改善していくことは心に留めておいてください。


●小嶋悠紀プロフィール●
本誌編集長・小学校教諭
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。

※特別支援教育について詳しく知りたい方は、『TOSS特別支援教育』誌をご購読ください。
<お申込み・お問合せ先>
TOSSオリジナル教材HP https://www.tiotoss.jp/

© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!