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二次障害の児童には、こう対応する

教師の不適切な対応によって、二次障害を引き起こすことは多いです。今回は、そんな児童への効果的な対応を紹介します。

埼玉県公立小学校教諭 吉川大胤



1 怒鳴らない

発達に課題を抱える児童は、どうしても、叱られる行動、指導せざるを得ない行動を繰り返します。
教師の側も、何度も何度も問題を起こすので、腹が立ってきます。
そこで、児童を威圧して、制圧しようと思ってしまいます。
強い言葉で言われるほど、反発したくなるのが人間です。
教師や大人への反発が、二次障害という形で表れてくるのです。

課題のある児童ほど、一旦「この人は嫌い」と思ってしまうと、関係を修復することが難しい傾向があります。
そうならないために教師の側が常に意識しなければならないのは、「怒鳴らない」ということです。怒鳴らない指導を続けることによって、「この人は味方なんだ」という気持ちが芽生えてきます。そのような気持ちになれば、教師への反抗はなくなっていきます。

  2 決めつけない、納得できる話をする

二次障害が生じてしまっている児童は、毎日のようにトラブルを引き起こします。
そのようなことが続くと、教師の側は「どうせまた、この子がやったんだろう」という気持ちになってきてしまいます。
そのような気持ちで対応すると、児童は、「なんでおれだけが悪いことにされるわけ?」と怒り出します。
教師の側は、トラブルが起きた際には、必ず、中立な立場で、双方から話を聞く必要があります。
トラブルの際には、どちらが先に原因をつくったかで揉めることがあります。
そのような場合には、どちらが先に何かをしたかではなく、それぞれに、
「自分の悪かったことは何ですか?」と聞きます。
「〇〇は悪かったです」
と本人が言えば、
「では、悪かった部分については、どうしますか?」
と聞き返します。
「謝ります」
と子供は答えるでしょうから、そうしたら謝る形を取ればよいです。
教師の側が決めつけず、子供が納得する形で話を進めることが大切です。

3 一人で抱え込まない。総力戦

日々のトラブルを担任一人で解決しようとすると、無理が生じます。
「このような問題が起きてしまっているのは、自分のせいだ」
「これくらいの問題を解決できないと、仕事ができない人だと思われる」
このような考えになってしまうと、児童への対応に余裕がなくなり、より厳しい指導となってしまいます。

また、二次障害が生じてしまっている児童がいると、学級自体が落ち着かなくなってくることがあります。その児童と同じような行動をする子が増え、複数の児童が、学級を乱す状況に陥ります。
こうなってしまうと、全体への話が通じなくなり、一気に学級崩壊状態になってしまいます。

このような状態を一人で対応しようと思うと、担任自身が壊れてしまいます。
学年主任、生徒指導主任、管理職と相談し、担任だけで学級を運営するのではなく、複数の教員が、学級に入ることができるような体制をつくっていくことが重要です。


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