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<そうだったのか! 発達障害児への本当の対応>ADHD症状への具体的対応ライブ中継!②

(①つづき)

まずはノルアドレナリン。これは緊張感の脳内物質です。
 
1つ目。「時間、回数を制限する」
 
皆さんに体感していただきます。
 
ノートに自分の名前を「2秒で」書いてください。よーい、スタート。
 
1、2、はい書けた人? 通常は書けません。書けたら、かえって心配なくらいです(笑)。
 
今こちらから皆さんを見ていると、グッと体がこわばるんです。
 
脳のノルアドレナリンという脳内物質がパーンと出るときに、心臓の鼓動が速くなるんです。ドクドクドクドクって。速くなると、パフォーマンスが上がってくるんです。
 
TOSS教材でも制限のあるものがあります。五色百人一首(東京教育技術研究所)は20枚でやりますし、あかねこ計算スキル(光村教育図書)は制限時間を告げる。
 
普通の百人一首で100枚よりも、五色百人一首20枚の方が緊張感がありますよね。計算スキルを10分かけてやっても教室はどんよりするだけですよ。
 
どちらも制限があるから、適度の緊張感が生じて集中できるわけです。
 
このように時間や回数を制限すると、ノルアドレナリンというのが脳の中でスパークして衝動的な行動が抑制されます。

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 時間制限のかけ方というのはあまり多用しない方がいいです。
 
この中では効果があると紹介していますが、何回も時間制限をかけるとノルアドレナリン効果は慣れていってしまいます。慣れると効果を発揮しなくなるので、ここぞというときにノルアドレナリン効果を使っていくことがとても大切です。
 
緊張感を持たせたいというときは、多用して使えるのは回数です。時間よりも回数を制限していく方が、発達障害の子たちにとっては効果的な感じがします。
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2つ目、指名する。
 
「高見澤くん、立ちなさい」とかね。急に言われると緊張しますよね。
「岸上くん、立って」体の動きが完全にぎこちないでしょう(笑)。ありがとうございます。座ってください。
 
皆さんも経験がありませんか? 自分が指名されて、汗をかいてしまったりとか顔が赤くなってしまったりすること。これはノルアドレナリンが脳の中に出るからなんです。
 
それから、時々立たせるのもいいです。
 
私は授業中に、「全員、起立」と全員を立たせます。「◯◯くんと◯◯さん立って」と言うときもあります。「◯◯くん、立って」と言うときもあります。
 
そのあと「1回読んだら座ります」などと指示をする。緊張感を持って学習が進むので、ちょっとADHD症状が出ているなあとか、教室がダラーっとしてきたなあというときにとってもいいです。

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 薬物療法というのは考え方がいろいろあります。この講座の中ではあまり言及していませんが、やはり副作用が多いので、リスクがあるんだということを保護者には伝えないといけません。
 
最も大切な考え方は、子供がその薬によってよくなっているんだという事実も伝えなくてはいけないということです。
 
そして体重が減らないということです。ガリガリにならない。全く食べられないのではなくて、1日をとおしたトータルとして食べられている。
 
このような説明も薬物療法の中にはあるのだと覚えておいてください。


小嶋悠紀
大学時代より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、県内の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に講演を行う。
NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。


※この記事は2016年2月1日発行の『TOSS特別支援教育 第2号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/

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