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教えっぱなしでいこう

「分かった?」と聞くと「分かった」と答えるけれど、またやってしまう。どうして?

静岡県公立小学校教諭 鈴木恵美子



家庭での1コマです。
「片付けなさい。分かった?」「うん。分かった」
と、返事をしたのに、子供はまた散らかしています。
「片付けなさいと言ったでしょ。何度言ったら分かるの!」
我が家ではこんなやり取りをしょっちゅうしていました。

同様に、学校でも「廊下を走りません。分かりましたか?」と注意すると、子供たちは「はい。分かりました」と返事をします。
でも直後に走っています。
「分かったと言ったでしょ!」注意の声は大きくなりがちです。

これは何がいけないのでしょうか?
「分かりました」と言わせている大人の対応がNGなのです。
「分かりましたか?」「はい、分かりました」と言った時点で、子供の頭には何を言われたのか残っていません。話の内容がすべて飛んでしまっているのです。子供は最後の言葉しか覚えていません。
 伝えたいことだけを端的に伝えましょう。返事をさせる必要はありません。
「片付けましょう」「廊下を走りません」とだけ言えば良いのです。
さらに言えば、「廊下を走りません」より「廊下は歩きましょう」の方がより良いです。プラスの言葉を伝えましょう。

『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(小嶋悠紀著 講談社)では、「現場で本当に効果があった『ほめ方・教え方』知っておきたいルール②」として「教えっぱなし」でいこうと提案しています。

大人がインプットしても、なかなか行動には出にくいのが発達障害の子の特徴です。だから大人は、「教えっぱなしでいい」くらいの気持ちでいましょう。「教えたけど、ま、できないよね。もう一回教えてあげるか」くらいに構えておいた方が、穏やかに子どもに接することができます。

『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(小嶋悠紀著 講談社)

子供同士のトラブルがあった際、子供は自分が悪いと認めても、すぐに謝れないことがあります。
そんな時には、代わりに大人が謝ります。
「さっきは、たたいてごめんね。○○君の代わりに先生が謝るね。ごめんなさい」
こうして謝る姿を見せます。大人が謝る姿を見せることで、子供は自分から謝ることができるようになります。何度も「教えてほめる」を繰り返しましょう。

まずは大人が謝る姿を見せます。

やがて自分から謝ることができるようになります。


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