見出し画像

聴覚障害児も笑った! TOSS音楽指導(3年間の軌跡)①

ろう学校で始めたTOSS音楽実践(1年目)。まずは身体活動で拍をつかませる。

高知県立特別支援学校教諭・小松賀恵

 1年から6年までの合同音楽を担当することになりました。障害の度合いは様々でした。
 引き継がれていたことは、「拍取りは、困難。常時、太鼓を使用。正しい音程は求めない。」でした。

1.「やって真似させる」から始めた音楽授業開き

 「手が重なったところで、手拍子してね。はい!」と、明るく指示をしました。
 子供たちは、キョトン。教室は、シーン。
 周囲の先生の視線が、私に、一気に集中する。
 「手が重なる」という言葉とその状態を、結びつける指導が必要だったのです。手が重なった状態を見せ、「この時に手拍子をします」で、やっとできました。

 その後、少しずつテンポアップするのですが、手の重なりを見ることに子供たちは必死でした。拍の流れが生まれていることに、一切、気づくことはなく、子供たちの楽しい感覚は「0」に等しかったと思います。
 慣れてきたところで、「ミッキーマウスマーチの音楽に合わせて、手の重なりで手拍子します」にステップアップ。拍の流れにのって少しずつ手拍子が打てるようになってきていることを力強く褒めて、褒めまくりました。
 こうして音楽に合わせて手拍子が打てていることを繰り返し体感させました。

2.音楽に合わせた身体活動

 「あしぶみをしますよ。立ちましょう」
 子供たちは、キョトン。教室は、シーンでした。「あしぶみ」と、その行動がつながっていませんでした。

 「次は、先生の真似するよ。 右足あげて、トン。左足あげて、トン。(繰り返す) 早くするよ。 
 右足、左足、右、左、右、左  
 「先生は、歌。みんなは続けて・・・・」
 歌→ピアノ伴奏→CDの音源 と、伴奏にも変化をつけていきました。
 こうして、歌や音楽にあわせて「あしぶみ」をする活動に、毎授業取り組み、「音→表現→記号」の中の「音→表現」の活動を積み重ねていきました。
 1年後には、「歩きます!」とピアノを弾くだけで、動けるようになりました。8拍目で、回転やジャンプ、好きなポーズをしたり、曲のバリエーションを増やしたりしながら、変化のある繰り返し指導を続けたところ、拍を体感する力が育ってきました。特に「8拍目で好きなポーズ」は、今も子供たちのお気に入りです。

(第2回「聴覚障害児も笑った! TOSS音楽指導(3年間の軌跡)②」に続く2024.6.27予定)


© 2024 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!