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★有料(メンバー無料)★<ドクター・専門家からの提言>気付いてよ先生

一人一人の子供に配慮した授業を行うことが、全ての子供を救う。

医療法人新淡路病院淡路障害者生活支援センター施設長 松下 徹

1.配慮・支援が必要なのは誰か

特別支援教育を巡る制度改正がなされて9年が経ち(執筆当時)、「特別な支援を要する児童生徒」が通常学級にも6%はいるという認識が学校現場に浸透してきた。
各学級ではさまざまな工夫・配慮がされるようになった。そして、2016年には「障害者差別解消法」が施行され、学校でも「合理的な配慮」が求められるようになる。

だが、現場の教師が〝障害〞を意識すればするほど、ある懸念が生じる。〝障害〞の診断名の付いていない児童生徒〜いわゆるグレーゾーンの子供たち〜への対応が疎かになるのではないかという懸念だ。
診断名やサポートブックがなければ配慮・支援をする必要がなく、苦手なことがあれば本人の努力で補うべきである、そう考えられてしまいがちである。

実際、診断名あるいはサポートブックがなければ特別な支援をしない、という教師の声を聞くことがよくある。
だが発達特性(〝発達障害〞といわれる特性)のある子供の全てが診断名を付けられていたり、サポートブックを持っていたりするのではない。
 
一.本人に発達特性があることに誰も気付かなかった。
二.発達特性はあるが、診断基準を満たしていない。
三.保護者が子供本人に発達特性があることを学校側に伝えない。

 
こういった理由で、診断名もサポートブックもなく、配慮や支援をされていない、あるいはされてこなかった子供たちがいるのだ。
配慮・支援を必要としているのは、診断名のある児童生徒、サポートブックのある児童生徒、さらにグレーゾーンの児童生徒である。
 

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