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入学前に面談をし、準備を進める

配慮の必要な子とは、入学前に面談を行うことで、お互いにしっかりと準備をしたうえで入学を迎えることができます。

埼玉県公立中学校教諭 星野優子



中学校への入学前、配慮が必要な生徒に対しては保護者を交えた事前面談を行うようにしています。
小学校との引継ぎの際に、要支援の生徒を確認し、必要に応じて保護者に連絡を取り、春休み中に面談を行っています。
その際に話す内容は大まかにいうと次のとおりです。

(1)本人の様子(特性、小学校時代の過ごし方等)
(2)中学校に入るにあたって、先生方に知っておいてほしいこと・配慮し   
   てほしいこと
(3)中学校入学について、子供が不安に感じていること・楽しみにしてい
   ること

ある年度に入学した生徒A男は、集団行動が難しく、小学校時代にはほとんどの時間を図書室で過ごしているという生徒でした。特定の分野での知識量はすごいが、偏りが大きく、集団行動は難しいとの報告があり、学校全体で様々な配慮をすることが求められました。

入学前、該当学年の職員と共に、特別支援コーディネーターとして自分も同席し、保護者との面談を1回、本人も同席しての面談を1回、行いました。保護者との面談で入学にあたっての願いを一通り聞き、学校全体でできること・できないことを検討したうえで2回目の面談に臨みました。

合理的配慮として可能なことは支援をしますが、学校では対応しきれないこともあります。A男の場合は、集団参加が難しい場合には別室でスクールサポーター(補助員さん)と一緒に過ごすことは可能でしたが、A男のために誰かが1日中マンツーマンで横について学力保障をすることは難しいというのが学校の現状でした。そのことを保護者にも伝え、できる限りの支援をすることで合意を得ました。

入学前に面談を複数回行うことによって、子供も、保護者も、教師も、入学のための準備(気持ちの準備・環境の準備・システム上の準備)を整えることができます。何もせずに入学式を迎えるのとは大きな違いが生まれます。よいスタートを切るためには準備が欠かせません。


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