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<そうだったのか! 発達障害児への本当の対応>ADHD症状への具体的対応ライブ中継!①

〜知っておくべき脳内物質とそのキー対応を大公開!〜

長野県公立小学校教諭 小嶋 悠紀


ベーシックトレーナー養成講座~発達障がいの基礎・基本~
2015年4月、長野県長野市で開催。発達障害 を持つ子供たちへの対応法を学びたい方々へのオープンセミナーでのADHD児の基本理解と対応の講座。小学校、中学校、高校の教師に加え、保育士、エンジニア、保護者など200名が参加した。本稿ではこのセミナーの一部
をテープおこしで再現する。


(前号からの続き※)
※前号ではADHDの三大症状(不注意・衝動性・多動)のうち、「不注意」への対応を取り上げた。

次、衝動性にいきます。

「衝動性が高い」ということは、どういうことなのでしょうか。
 
それは次の5つです。「目の前のことにだけ反応する」、「突然始める」、「思考が単純」、「場当たり的」、「予想できない」ということです。
 
衝動性の高さをコントロールするのが、環境調整です。できるだけ興味を飛ばさないような配慮が必要です。

一番重要なのは、興味をこちらにずっと集中させ続けることです。「○○くん、今これやっているよ。できたね。次はこれだよ」みたいにね。
 
ワーキングメモリーに隙があると、隙を狙って興味を飛ばしてしまう。その隙をつくっていかないということがとても大事です。どのように対応すればよいのかということで脳科学的にある物質を出せばよいということです。
 
ADHD(注意欠如・多動症)症状を抑える脳内物質があるということはご存じですね。
 
これは、人との関わりで出してあげることができます。最近よく言われる、「セロトニン5」とは脳内物質の分泌を促す対応です。
 
ストラテラやコンサータっていうのは、血中に薬を溶かして送り込んで神経物質、脳を興奮させます。
 
これを勘違いしている先生やお家の方も多いのですが、コンサータやストラテラは、脳を落ち着かせる薬ではありません。脳を興奮させる薬です。
 
脳を活動的な状態にもっていって、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどを全部調整する薬です。ストラテラやコンサータは特殊な薬で、足りなかったら出すし、過剰だったら制限する。取り込みがうまくいっていなかったらうまくいくようにする。とてもよくできています。
 
コンサータという薬は危なくないですか? とよく言われますが、これはリタリンだったときに副作用があったからです。
 
その時の副作用のエピソードが語りつがれているのです。コンサータが世に出てくるまでに、どのような実験を通っているか知っていますか。
 
まずは動物実験があります。ステージ1。次は症状が出ている人たちを被験者とするステージ2。ステージ3は、症状が出ている人と出ていない人で比較実験。しかも副作用がないか10年にわたって追いかけたので、相当安全です。
 
滅多に副作用は出ません。食欲の減退は出ますが。安全性に関しては、日本は物凄く厳しいです。
 
お薬について保護者に説明するときはそう言います。相当安全ですよ、と。それは、これだけのテストを通り抜けてきているからです。
 
それでも、教室には薬を飲んでいない発達凸凹の子供たちもいます。
 
そういった子供たちにはどうすればいいのかというと、「教師の授業行為で」

脳内物質をしっかり出してあげないといけない。
 
その上で「ノルアドレナリン」「ドーパミン」「セロトニン」というそれぞれの対応が必要です。
 


小嶋悠紀
大学時代より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議
会において、県内の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に講演を行う。
NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。


※この記事は2016年2月1日発行の『TOSS特別支援教育 第2号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/

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