落ち着きのない子供たちを授業に集中させるために
授業中の子供たちの安定には、教師の授業力向上と周囲の環境整備が不可欠である。
愛知県私立中高一貫校教諭 松浪由起
高校での実践です。以前、多動性、衝動性が強い生徒が複数名いる学級で、授業を担当しました。4月当初、子供たちには、特に周りが騒がしかったり、自分ができない場面だったりしたときに落ち着かない行動が目立ちました。しかし、セミナーなどで学んだことを活かして、徐々に授業に集中させることができました。特に意識したのは、以下の4点です。
① 分かりやすい指示を出す
一時に一事の指示を出し、できるだけ短い言葉で伝えるよう心掛けました。「え、何したらいいの?」という状態を減らすだけで、生徒たちは指示に従って取り組むことが増えました。
② 全員で盛り上がる場面をつくる
全員で声を出すフラッシュカードや、楽しいゲーム性のある活動を意図的に取り入れました。周囲が盛り上がることで、生徒たちも一緒に参加するようになり、授業への集中力が向上しました。また、楽しい活動を通じて「自分もやりたい」と思わせることができました。
③ 黙々と作業する場面をつくる
スモールステップで全員が理解し、できる状態にしてから個別の作業に移りました。時には近づいてヒントを与えたり、できているサインを送ったりしました。分からないときは周りにちょっかいを出したり集中できなかったりしている生徒も、分かると目の前の作業に集中するようになりました。「周囲も静かに取り組んでいる」という環境も大切です。
④ 個々の生徒が活躍する場面をつくる
それぞれの生徒たちが、周囲から「おーっ」と言われる場面を意図的につくりました。周りから認められることで生徒たちは自信をもち、より前向きに取り組むようになり、授業中の落ち着かない行動が減りました。
中学・高校で一番長い時間を過ごすのは教室での授業時間です。教師の授業力を高めることが、生徒たちの日常生活を安定させるために不可欠だと痛感した1年でした。
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