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丸ごとライブ「子役付き模擬授業」【ささエるマガジン第3号】

 小嶋編集長の特別支援教育セミナーでよく行われているのが「子役付き模擬授業」です。
 発達障害のある子や問題行動のある子などを特別支援教育に詳しい先生が演じ、授業者はその“子役”に対応します。
 実際の教室を再現しているので、大変な学びを得られます。 ささエるマガジンでは、その「子役付き模擬授業」を動画で体験していただきます!

解説・介入:小嶋悠紀(ささエる編集長)
子役:原良平(長野県公立小学校教諭)


子役付き模擬授業④

テーマ:書くことが苦手で、立ち歩きしてしまう子供

授業者:戸田大介
教材:算数 小1(支援級) いくつといくつ

<文字起こし>
戸田 小学校1年生の支援級の担任をしています。
小嶋 支援級ね。
戸田 衝動性が高くて、書くことが苦手なので、けっこう立ち歩きも長い感じです。
(そろばんを提示して)10の階段。1 2 3 4 5 6 7 8 9 10。
はい、10の合成。
一同 10の合成。
戸田 10の合成。1と9で?
一同 10 。
戸田 2と8で?
一同 10……3と7で10、4と6で10……5と5で10(※全体はリズムに合わせて唱える。原くんは百玉そろばんを勝手にいじっている)

小嶋 (授業を止めて)ありがとね。そうなるよな。どうするかっていうと、百玉そろばんと教科書パーツに分けたいと思うんですけど。基本的にこういうの(教授用百玉そろばん)は出さないほうがいいかなと、特別支援学級では。これよりもマグ玉(玉だけを半分に切って磁石で貼れるようにした教具)っていうのがあって、このマグ玉で貼っていったほうが、安定感は出ると思います。だから、特別支援学級のマグ玉を30玉とか40玉とか用意しておくことを、僕はお勧めしたいんだけど。
ただ、これを使うのであれば、攻略する手立てがあるんですね。
百玉そろばん、原くん、出ておいで。って、いきなり出させるんです。「おいでおいで」って言って。「じゃね、次、山岸さんだからね」。(原くんが)先生役になるんです。こっちからはじいていってもいいけど、1、2、3、4、5……ってこうやって、はじいていってくれるかな。先生が言うからね、先生の言うとおりに行くんだぞ。はい、1、みんな言うのよ、もう一回、もう一回、みんな言わないから、もう一回、さんはい、1……
一同 1、2、3、4、5
小嶋 やった~! はい、座って。「次、山岸さんだよ、出ておいで」って、こうやって用意しておくんですよ、こうやって。じゃ、ほらほら、次、君(原くん)、言う番だから、座っておくんだよ、そうそう、君、次に言う番だからね……って、「No go」を教えるんです。さっきはGoでしょ、「やってよ」って。No go、こういう状態で。山岸さんもやったよね。6から、みんな言うんだよ。さん、はい。
一同 6、7、8、9、10……
小嶋 はい、よくできたね、今もね、よく言えたよ、はい、座って。ここから、10の合成ですよ、まず、先生がやる、次やりたい人は、手を挙げたらやれるからね、1と9で……。
一同 10
小嶋 はい、2と8で
一同 10
小嶋 3と……
一同 7で10
小嶋 4と……
一同 6で10……
小嶋 こっからやりたい人? はい、原くんやって。その代わり、立つ、いいですね、5と5で10は、みんな言うね。これ、わかるな、「次やりたい人?」って聞いたら、今度、早い人ができるからな、はい、5と5でから、どうぞ。
一同 5と5で10、6と4で……
小嶋 やりたい人?
竹内 はい、はい!
小嶋 はい、竹内くん。(原くんに)今度、座る、座る、座る、そういうこと、そういうことって……って、どうもありがとうございます。
 こういうように、子供たちを操作させてもリズムは崩れるでしょ。しかも、何を教えているかというと、特別支援学級で教えたいことはリズムに乗って授業を受けることじゃない。そうじゃないね、「ここは抑制しよう、ここは行っていい」っていう、Goを見つけて、この「Go」「No go」ができないから衝動性が高い。でも、こういうように少人数の間である程度、僕等がコントロールできるようなところであれば、しかも衝動性が高く、立ち歩いてきてね、これを触っちゃうとか、子供たちだけど、むしろそれを逆手に取って、授業を組み立てるわけ。
どうせ来るんだから、先に出しておけ理論ですよ。で、先に出しておいて、しかも、今、ペース、崩れました?崩れないんですよ。それは、子供を特殊支援学級という環境設定もあるしね。で、且つ、今、わかりますね。「No go」を教えてるでしょ、「座るんだよ」って。「ここはあなたが言う」。で、「よく言えたね、座って言えたね」。でも、その先には、今度、「Go」の場面があるからね、「はい、何とかです」みたいな時に、バーンと手が挙がって、「よくね、そこで反応できたね、じゃ、おいで」って、報酬も待ってるわけ。
こういうように特別支援学級だったら、「Go」「No go」で教えるっていう組み立てにしちゃったほうが、こっちの教師主導のリズム、テンポに乗せるよりもはるかに状態が良くなるような気がします。はい、というやり方もありますよって、特別支援学級バージョンでやれますよ。じゃ、教科書パーツに入りまして。教科書やらない?
戸田 やらない予定です。
小嶋 あ、やらない予定?この10の合成はやらないんですね。
戸田 このまま百玉そろばんで……。
小嶋 あ、やる予定だったんですか。
戸田 そうなんです。
小嶋 あ、つまり、今日はね、教科書を見せられないですけど、ここに10の合成みたいな単元の教科書があって、これでやる予定だった。
戸田 あ、そうです。
小嶋 ああー、それはね、やはり良くないですね。そうじゃなくて、その場合は、20玉そろばん、10玉そろばん、みたいなのを個別に置いておいて、個別で作業をさせたほうがいいです、この場合は。で、もっと知的レベルが低いのであれば、やっぱり10玉そろばんみたいな、そういった物も非常に概念的に抽象的なので、もっともっと具体的な物を用意して、こういったものを作業させながら書かせるっていう、そういうような方面も考えられると思いますね。はい、お疲れ様でした。

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