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特別支援教育・悩みが消えるQA① 特別支援学級の授業編成での配慮

(回答者:小嶋悠紀)

Q 自閉スペクトラム症の中学三年生男子への進路指導は?

 小学校で教務主任をしています。近年、特別支援学級在籍の児童が増え、通常学級18学級に対し、特別支援学級は知的学級2学級、自閉・情緒学級2学級、合計4学級、児童数約20名の規模となりました。
 自閉・情緒学級の児童がいずれも6名の在籍で、衝動性の強い児童に掻き回され、大人しく自閉傾向の強い児童の学習が成り立たない状況にあります。担任が2名で、支援員が1名付いていますが、支援員は通常学級も担当しているため、1日に1時間程度の支援となっています。
 児童を在籍学級に縛られずに、知的学級含め各特別支援学級に分散させることをしていますが、教務主任として、特別支援学級の授業編成では、どのようなことに配慮したらよいでしょうか?

A 私はこのような概念で編成していました

 まずは、このような場合、小嶋は次のような概念で編成していました。
「①通常学級での生活自体が難しい自閉・情緒の子供たち」「②多くの部分は通常級での生活ができ、一部分の教科やSSTなどで特別支援学級に通う子供たち」「③知的な障害を伴う子供たち」
 ①の人数は、できるだけ減らしていました。支援を手厚くするためです。逆に②の人数は多くなります。柔軟な編成をしていました。
 しかし、これらだけでは、もちろん学習は落ち着きません。
「1人1人が学べる教室環境を作る」
「1人1人にあった教材をアセスメントの上、用意し実行する」
「学習後のご褒美タイム、自由時間タイムを充実させる」
です。
 やはり特別支援学級で好き勝手やるのではなく、「やるべきことをやった上で、楽しいことが待っている」という「課題↓報酬」の構造をつくることで、ルールも入るし、やる気もでます。
 このようにやる気を出させる編成をするのも大切な仕事ですね。
 知的学級については、大きな編成をしませんが、自閉・情緒の子供たちを入れることはしませんでした。教育課程がそもそも違いますし、逆に知的な障害のある子供たちが行動に引っ張られる可能性があるからです。
 やはり教師がどのような環境を用意するかに全てがかかっていると言えるでしょう。

●小嶋悠紀プロフィール●
本誌編集長・小学校教諭
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。

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