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編集長対談 小嶋が行く! 第4弾:太田一美氏 【第5回 就学を考えるために保護者が模擬授業を受ける】<有料マガジン・メンバー無料>

「ささエる」の小嶋悠紀編集長が、様々な人たちと特別支援に関する対談をするコーナーの第4弾です。
今回の対談相手は就学前の子供たちの療育を行っている一般社団法人Advanceの太田一美氏です。
この対談のテーマは「未就学児の発達障害への治療的な保育とは」です。
第5回は「就学を考えるために保護者が模擬授業を受ける」です。
※有料マガジンですが、今回の記事は無料でお読みいただけます。
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※記事の最後に続きの対談風景の動画を収録しています。

小嶋 僕は療育とか教育とかって、保護者の意識を上げないと本当に効果が上がらないと思っています。僕がドクターに教わったのが、本人と支援者と家族が「こういうふうにやって進んでいって、こう成長したいんだ」ということで、同じ方向を向いていない限り、効果は出ないということです。これにはエビデンスもあるらしいです。あどばんすさんでは、保護者の意識を向けるというところも、やっぱり大切にされていますか?
太田 はい、しています。私たちのゴールである、必ず向かう「小学校入学」というものについては、職員一同、高い意識をもっています。「1年生になる時が勝負」という意識です。そこで、毎年「就学を考える会」というものを開き、「1年生で行われるのはこんな授業です」というのを保護者に知ってもらいます。

小嶋 模擬授業をするんですか?
太田 はい。模擬授業を行います。
小嶋 それで、保護者が模擬授業を受けるんですか?
太田 そうです。受けていただきます。
小嶋 なるほど。
太田 国語の授業と算数の授業を、保護者が受けます。「1年生の授業ってこれですよ」ということを提示して、「こういうことをやる前段階として必要なことは何か、今やらなくちゃいけないことは何か」ということを考えていただきます。あどばんすに通える時間は限られています。だから、「おうちでもこういうことをやらないと、この概念がないと国語、算数の授業にはたどり着きませんよ」という、「就学を考える会」をやります。
小嶋 なるほど。だから、親の意識がそこに向いてくるわけですよね。

太田 はい。そのほかに、「療育に頑張って通ってきたらこんないい人生があるけれど、もし、そこで諦めちゃったら、就労でこんな悲惨なこともありますよ」という、「就労を考える会」もやっています。
小嶋 悲惨な就労を見せる(笑)。
太田 はい(笑)。「この子たちがどんな小学校時代を送ってきたか」というところまで掘り下げて伝えてくれる講師を2人招いて。それで、「B型就労に行けた子、行けなかった子」の違いとか、実際に失敗してしまったケースなどを親に提示してもらって、「この力が足りないからこうなっちゃったんですよ。今なら間に合いますよね」ということを伝えます。
小嶋 とても大事ですね。「ささエる」の対談第1弾では、翔和学園の伊藤先生と就労のことを話したんですよ。そういう意味では、この対談企画はまず出口からスタートしているんですけれど、あどばんすさんは、まさにその入口を担っているわけですよね。出口を見せることによって、入口を高めようという取組ですね。

小嶋 僕のインスタは、今、1.3万人フォロワーさんがいらっしゃるんです。そこに寄せられるコメントを見ると、やっぱり「子育てが苦しい」と言っている。「だから、もういい」みたいになってしまっている保護者の方もいるんですよね。そこの苦しさに対して、太田先生には寄り添う姿勢もあるだろうし、逆に、「あなたたち、親としてもっと頑張ろうね」と言われることもあると思うんです。励ますほうが多いのか、「頑張ろう、頑張ろう」というほうが大きいのか、どちらの比率が多いですか?
太田 お母さん方には、「頑張ろう、頑張ろう」とも言いますけれど、楽になってもらうことも考えています。あどばんすに来ると、時間がすごく短いんです。トレーニングの時間として、子供たちが1分も隙が無いカリキュラムになっていますから。子供たちにとってはすごく大変なことなんです。だから、「もっと緩やかな療育施設を併用しましょう」と言います。

小嶋 2つの施設を同時に使えということですね。
太田 はい。山梨県は福祉のサービスで3か所まで使えることになっていますから。うちだけがいいわけじゃない。
例えば、トレーニングをうちで担っている子供が、それ以外の曜日に通っている保育園で大変な状態で、お母さんが迎えに行くと毎日先生から苦情が出るのであれば、「2日間はもっと緩やかな、この子が遊べるところへ行きましょう」と言って、そちらを併用していただきます。「お母さん、ちょっと楽になりましょう。でも、あどばんすのこのトレーニングがだんだん生きてきますからね」という励ましは送ります。
小嶋 なるほど。お母さん自身が楽になるということも大切にされているし、でも、「やっぱり母親としてここは責任を持ってやろうよ」ということも、きちんと伝えているんですね。

(「6,お父さんを巻き込むことの重要性」に続く 2024.9.12アップ予定)


 この対談の続きを少しだけ動画で公開いたします!
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太田一美
一般社団法人Advance 代表理事
児童発達支援事業所 あどばんす
相談事業所     相談室ぷりも
児童発達支援事業所・放課後デイサービスあんぶれら

小嶋悠紀
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。


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https://www.tiotoss.jp/
© 2024 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing

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