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一言の指示で動く「おてほんくん」×直写ノート

教室がシーンとなり、あの子もできた!「おてほんくん」×直写ノート。

福井県公立小学校教諭 尾川智子



新学期は、指示がなかなか通らないことが多いです。

そこで、私は新学期に必ず行うものがあります。
「おてほんくん」と直写ノートです。

「おてほんくん」と直写ノート

この教材を渡して「写します。」と言うだけで、子供たちは取り組み始めます。教室がシーンとなり、どの子もだんだんでき上がっていく自分の作品に満足します。

私が担任したA男は、立ち歩いてしまう、騒ぎだしてしまう、すぐにキレてしまう子でした。

どんなに優しく伝えても「は?死ね!」というような言葉がA男から返ってきました。

そんなA男が立ち歩かず、騒がず、キレないで行うことができたものが「おてほんくん」と直写ノートです。

A男は、自分ができないと紙を破ったり、物を壊したり、机を蹴ったりしていました。

「おてほんくん」×直写ノートは、うっすら見えている絵をなぞっていくので、A男でも上手にできました。紙を破ることなく、最後までできました。
写し終わったら、好きな色を塗らせました。

A男は、でき上がると「もう1枚描きたい!」と言って描いていました。

A男の作品

描いているときは、そっと小さな声で「集中しているね」「とっても上手!」「その色いいなあ」と褒めるだけでした。褒められるのでA男もうれしそうでした。

直写ノートには、ミシン目が付いています。切り取って、色画用紙に貼って掲示しておくととても美しいです。

掲示した作品

掲示しておくと、他の学年から「すごーい!」と言われました。4月の終わりには授業参観がありました。A男の保護者は「きれいだね!」と言って写真を撮っていきました。A男は、とてもうれしそうにしていました。

A男にもできることが分かったので、私が出張に行くときに「おてほんくん」×直写ノートを自習として出しました。

代わりに入ってくださった先生が、
「A男も黙々と集中してやっていました。みんな、上手に作品を仕上げていましたよ」
と教えてくださいました。私がいなくても、子供たちだけで進めていくことができました。


© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

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