【第5回 否定されたときの心のもちよう】編集長対談 小嶋が行く! 第2弾:シェフロピア・小林論史氏<有料マガジン・メンバー無料>※今回は無料公開
「ささエる」の小嶋悠紀編集長が、様々な人たちと特別支援に関する対談をするコーナーの第2弾です。
今回の対談相手は料理系トップYouTuberで「Ponte Carbo」オーナーシェフでもある小林論史氏です。
この対談のテーマは「障害があっても多様な職業に就ける」です。
第5回は「否定されたときの心のもちよう」です。
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※記事の最後に続きの対談風景の動画を収録しています。
小嶋 実際、You Tubeをされていて苦しかったことがあると思います。毎週のように投稿されていたり、毎日のように投稿されていたりするんですけれども、そういった意味で、継続する体力というか、マラソン的な体力、持久力というのはよく言われていますよね。そこら辺は、やっぱり辛かったですか。
小林 僕自身は、そもそもの入り方が、今の方とちょっと違うと思うんですよ。ここ数年で入り始めた方というのは、やっぱり「仕事になるんだ」という意識がありますよね。平たく言えばお金です。「お金になるから」っていうのが頭の片隅にあって参入してきている方が多いんじゃないかと思うんです。僕等の時代、10年ぐらい前だと、そもそもネットを使って動画を出してお金が稼げるとか、そんなことは考えていなかったんです。そんなことができるのは、トップYou TuberのHIKAKINさんとかだけの話で。
だから、僕等のような一般のYouTuberは、そもそも、マネタイズ(知識や技術の収益化)について考えずにやって来たんです。「稼げようが、稼げまいが、関係ない」という期間を、僕の場合、3年ぐらいやってきました。逆に言うと、その3年間はお金なんかまったくもらえないような状態だったんです。だけど、今の人のように最初から仕事という考え方をすると、撮影に1時間、編集に5時間、合計6時間もかかったのに、「えっ、ぜんぜんお金にならないじゃん」となります。そうすると、やっぱり続かないです。だから、そもそもの「なんで動画を出しているのか」の価値を、お金じゃないところに見いだせるかどうかっていうのが、持久力に繋がるかもしれません。
小嶋 なるほど。子供たちはけっこう単純なので、「これは儲かるぞ」「お金になるぞ」みたいなところで憧れているところもあるんです。でも、今のロピアさんの話だと、自分が社会に対してどんな意味のある投げかけができるのか。それをYou Tubeでやるのか、別の職業でやるのか、ぐらいの違いなんだと感じました。
小林 おっしゃるとおり、僕からすると、手段だけなんですよ。僕の場合だったら、それこそ10 年前だと、料理人で動画活動をしていると、「料理人のくせに動画とか、ふざけてる」などとけっこう周りから言われました。
小嶋 ああ、言われそう。
小林 「お店をやってるんだから、真面目にやれよ」みたいな。でも、時代の流れが変わると、本当に手のひら返しですよ、「どういうことだ!」というぐらい変わりますからね、評価が。
小嶋 「どうやるの?」みたいな。
小林 そうです。
小嶋 でも、実際に、やっぱりあれだけの視聴者数と再生回数があるということは、批難
も非常にあったんじゃないかなと思うんですけど。
小林 けっこうあります。そこら辺は、避けては通れないですよね。
小嶋 実際、だいぶ、ボロクソに言われました?
小林 当初、「料理人のくせに」っていうのは、しょっちゅう言われましたね。そこから本当に何でも批判されました。例えば、「こういう自分らしい料理を作りました」っていうことについて、「なんで透明なの?」とか、そんな感じです(笑)、レベル的に。
小嶋 「なんでパスタなの?」ぐらいな(笑)。
小林 ほんとに、そういうコメントとかが飛んでくるんです。でも、「この透明な水というものは、人間にとってめちゃくちゃ必要なものだから、みんな、飲んだほうがいいよ」というのを伝えたいから気にならないですね。
小林 それが、「これ1本売ったら100円になるから、なんとしてでも売らないと」とか、そういう考えになると、「透明だからダメなのかな、赤にしようかな」みたいになってしまいますよね。
小嶋 本質からずれる。
小林 そういうことです。
小嶋 結局、いい面ばかりじゃなくて、そういったような批判にもさらされるんですよね。子供たちに語らなきゃいけないこととしては、さっきのここまでの話の流れも全部、やっぱり教えなきゃいけないでしょう。
小林 そうですねえ。
小嶋 清濁併せ吞むというか、そういった濁った部分まで全部自分の中に抱え込んでやっていくんだよっていう。
小林 そこが、先生の立場から子供さんに伝えるのが難しい部分ですよね。
小嶋 難しいですね。
小林 でも、ネット社会だけじゃなくて、現実に生きていれば、何かをやったときには、いろんな賛否両論が巻き起こるわけで。その否定されたときにどういう心のもちようというか、考え方をしていかなきゃいけないのかを、先生は子供さんたちに教えていかなきゃいけないと思うので。
小嶋 職員室でけんかしてる場合じゃないんだよね、先生方も(笑)。批判したら、逆上する人とかいますからね(笑)。そういう意味では、先生たちも変な人が多かったです(笑)。
やっぱり、僕たち教員が見えない世界があり過ぎちゃいますよね。実際、僕も、この4月に教員を退職して、一般の会社を立ち上げたんです。僕は、いろんな人たちとのつながりの中で、教員の中では世の中のことをけっこう知ってるほうかなと思っていたんですよ。でも、実際に始めてみると、「教員時代にもっとこういうことを語れたんだ」っていう体験を、ほんとに多くしてて。今お伺いしたこのYou Tubeの世界の話は、本当に先生たちが知らないことだらけだったので、これだけでだいぶ価値が高かったです。むしろ、全部、子供の前で朗読すればいいんじゃないか、みたいな(笑)。それぐらいの内容をお話ししていただいたかなと思います。ありがとうございます。
(「6,飲食業界に就職したい子供へのアドバイス」に続く 2023.12.14アップ予定)
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小林諭史
動画クリエイター
「Ponte Carbo」オーナーシェフ
YouTube Chef Ropia
イタリア料理店の経営と並行して、イタリアンのコツをわかりやすく伝えるレシピや、プロの技を惜しみなく伝えるYouTubeチャンネルを運営する。チャンネル登録者数は現役シェフトップクラス。
https://www.youtube.com/channel/UCTNUzGFfCdUldW6SL_3fAVA
小嶋悠紀
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan