<教室でそのまま使える ! クラス全員が熱中する教材集>頭脳系チャレラン種目「『の』の字さがし」
眼球の動かし方、対象へのフォーカスの仕方と取捨選択の意識の使い方、視空間スケッチパッドでの形の認識など、脳が本来持つ機能を遊びながら高めつつ、新聞に親しめる。
茨城県特別支援学校教諭 富山 比呂志
① 「の」の1文字が認識できればOK
全く日本語が分からないネパールのラクシミちゃんが、「の」の字さがしに挑戦したところ、56字の「の」を見つけることができた。
他の日本人、しかも大人の記録35字を、初めての挑戦で上回ってみせた。
新聞紙から、活字の「の」を探し出す「の」の字さがしは、ラクシミちゃんのおかげで、記号の認識ゲームであることが明確となった。
制限時間1分間(60秒)で、ワーキングメモリーの視空間スケッチパッドに「の」の形を正確に留めておき、意識を「の」だけにフォーカスして認識する。
もうひとつ、眼球運動がポイントになる。日本の新聞は縦書きである。つまり、眼球は上下に移動させる必要がある。一定方向へ、連続的な眼球運動をすることで、認識力を高めることができると考えられる。
② 記号認識が苦手そうなら、記事の一部を枠で囲って
小さい活字を見るのが苦手、新聞のどこを見たらいいのか分からない、文字が多すぎて混乱する、ということがある。
こういう場合は、見つけるエリアを限定してしまう。白紙を四角く切り抜いて、新聞紙の上に置き、記事が見えている場所だけ「の」を探すようにする。
多すぎる情報を減らし、視野を限定することで、意識をフォーカスしやすくなる。
なお、囲んだ場合は、眼球運動が上手にできなくてもよい。
枠の中をぱっと見て、「の」だけにフォーカスできれば、3つくらいは見つけられる。もっとたくさん見つけたい、となったら眼球運動の出番である。
ちなみに、日本語の文章における「の」の含有率は、約5% である。他の文字と比較し、含有率が最も高いとされている。
囲んだ記事が400文字ほどなら、15〜20個くらい「の」を見つけられることになる。全部探すことができた、ということでも評価してあげることができるだろう。
③ あくまでも「遊び」として
脳機能の訓練をさせようと思わないこと。子供が楽しんで何度もやろうとするから意味がある。
※この記事は2016年6月1日発行の『TOSS特別支援教育 第3号』に掲載されたものの再掲です。一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。https://www.tiotoss.jp/