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殴る・蹴る・罵倒するAくん! 怒りの感情を自分でコントロールできるようになった!

怒りの感情をコントロールするためには、4つのステップがある。このステップを踏むと、怒りの感情をコントロールできるようになる。

広島県公立小学校教諭 藤原司



小学4年生Aくん。注意欠如・多動症(ADHD)の診断が下りています。衝動性が強く、カッとなったら、すぐに殴る・蹴る・罵倒する、といった行動が見られました。4月、周りの友達は1~3年までで嫌なことをされ続けてきたので、Aくんを避けている様子がありました。この状況はAくんにとっても、学級にとっても良くない状況でした。授業中には、周りの子供たちがAくんの発言をまともに聞いていませんでした。

怒りをコントロールする必要があるため、4月から、アンガーコントロールトレーニングを行いました。ステップは以下。

ステップ1 怒りの感情の言葉を身に付ける
ステップ2 感情の程度を認知する
ステップ3 怒りの感情に対応する
ステップ4 怒りの感情を判別・記録する

(参考:アンガーコントロールキット 教師用ユースウェア)

ステップ1。フラッシュカード教材「アンガーコントロールフラッシュカード」を使用しました。「ちょっとイラっとしてるね。そういう時は何て考えるんだっけ? 『たいしたことないさ』だよね」と、実際にキレた時に、フラッシュカードの言葉に立ち返るようにしました。すると、7月には、自分から、「先生、イラっとした時、たいしたことないさって考えられるようになりました」と言ってきました。

アンガーコントロールフラッシュカード

ステップ2と3。怒りの大きさを目に見えて分かりやすい形で子供に認知させる教材「アンガーログファイル」を使用しました。数値化することで、自分の感情を客観的に捉えることができ、「レベル5の時は、先生のところに行こう」というように、レベルと対応をセットで考えられるようになりました。教師が「レベル5ではなくて、3の怒りだよ。落ち着いているよ。えらいよ」と、数値をもとに怒りについて共有することができ、感情を客観視しやすくなりました。また、褒めることもできました。

アンガーログファイル

ステップ4。教師は記録をとり、ファイルのポケットに入れられるので、保護者と連携がしやすいです。また、過去と比較しての成長を褒めやすくなりました。そのおかげで、Aくんは落ち着きやすくなりました。

その結果、10月はじめには、自分の感情をコントロールできるようになり、友達との関係を自分で築けるようになりました。怒りの感情をコントロールできた時、教師は褒めました。それを見た周りの子も、Aくんを褒めました。プラスの連鎖が始まりました。そのことによって、より一層、Aくんは怒りをコントロールできるようになり、友達関係を良好にすることができました。保護者は涙して喜んでおられました。
キレる子で困った時、良い教材に子供も教師も助けられました。


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