見出し画像

パニックになるあの子が怒りをコントロールできるようになるまで①

パニックにならない方法を知れば、次第にパニックは少なくなる。

神奈川県公立小学校教諭 小塚祐爾

 以前担任した高学年のAくん。担任してすぐは、こんな子でした。


 休み時間、学級文庫にあるはずのお気に入りの本が見つからないと
  ↓
 (1)近くにある物を投げる
 (2)近くの人を叩く
 (3)物を蹴る
 (4)泣き叫ぶ


 他にも、様々なことで、パニックを起こしていました。
 私はAくんのパニックが少なくなるように、次のように対応しました。


1 パニックは収まるまで待つ
2 イライラの発散方法を決める
3 発散の練習をする
4 自分から発散するように促す
5 パニックにならずに済む言葉を教える


 この連載では、以上の対応をについて、3回に分けて詳しくお伝えしていきます。

1 パニックは収まるまで待つ

 Aくんがパニックになってしまった時、全ての刺激がパニックを助長する可能性がありました。
 そこで、私は次のようにしました。


(1) 声をかけない
(2) 目線を合わせない
(3) 無表情になる
(4) 一人になれる教室に連れて行く


(1)声をかけない
 パニックになると「だめ」「やめなさい」「危ないでしょ」などの注意する言葉はもちろん、「大丈夫?」「どうしたの?」「話してごらん」などの気遣う言葉も全て刺激になる可能性がありました。
 そのため、なるべく声をかけない方が良いという状態でした。
 ただ、危険なことは止めないといけません。その時は、ジェスチャーで伝えたり、声で伝える時も「短く」「淡々と」伝えたりするのが効果的でした。

(2)目線を合わせない
Aくんは目が合うだけで、イライラが増すことがありました。そこで、パニックの時は、なるべく目を合わせないようにしていました。

(3)無表情になる
 Aくんがパニックになると、ついこちらも怒った顔になってしまうことがありました。しかし、そうした表情さえも刺激になりました。なるべく無表情で淡々と接しました。

(4)一人になれる教室に連れて行く
 パニックになった時に、周りに他の子供がいると、その子が刺激になったり、その子に暴力を振るったりすることがありました。また、周りに様々な物があると、それを投げたり、振り回したりすることもありました。
 そのため、なるべく物が少ない、静かで一人になれる場所に連れていきました。

私の場合は、Aくんがパニックになった時に、壊れる物が少なく、静かで人のいないプレイルームに連れていきました。
 そして、廊下から、危険がないかどうかだけこっそり見続けて、パニックが収まるまで待つことにしていました。

(第2回「パニックになるあの子が怒りをコントロールできるようになるまで②」に続く2024.9.26予定)


© 2024 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/