編集長対談 小嶋が行く! 第3弾:田上善浩氏 【第1回 WING SCHOOLを立ち上げたきっかけ】<有料マガジン・メンバー無料>
「ささエる」の小嶋悠紀編集長が、様々な人たちと特別支援に関する対談をするコーナーの第3弾です。
今回の対談相手はオルタナティブスクールのWING SCHOOLを立ち上げた田上善浩氏です。
この対談のテーマは「子供たちが『傷つき体験』をしない教育とは」です。
第1回は「WING SCHOOLを立ち上げたきっかけ」です。
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※記事の最後に続きの対談風景の動画を収録しています。
小嶋 オルタナティブスクールの日本の代表的な学校が、WING SCHOOLです。
田上 ありがとうございます。
小嶋 まさに先頭を走ってこられて。本当に、WING SCHOOLがあったから、日本中に「オルタナティブスクール」という概念が広まったという、フラッグシップ的な存在だと思っていましたので。僕も2019年から研修などに入らせていただいて。もう4年間ですね。
田上 お世話になります。
小嶋 こちらこそ。せっかくなので、もう一度、そのいきさつをまとめて、しっかりと世に、「オルタナティブスクールの存在、そしてその選択肢を特別支援の子たちにも」というコンセプトで、「ささエる」の編集長対談第3回を企画しました。まずは善さん(田上先生のこと)の方から自己紹介をお願いします。
田上 はい。WING SCHOOLでは、「善さん」で通っていますので、今日も「善さん」でよろしくお願いします(笑)。
公立中学校教師時代にいろいろ実践を積みまして、TOSSの方で大変お世話になりました。そして6年前に、一般社団法人「WING SCHOOL」というオルタナティブスクールを立ち上げました。現在、教師スタッフ10名。他のスタッフも全部合わせると、20名近くになります。子供たちは86名。来年(2024年度)はもっと増えて100名を超える予定です。そういう元気な小中学生と毎日、WING SCHOOLで活動しています。「善さん」と言います、よろしくお願いします。
小嶋 よろしくお願いします。さっそくWING SCHOOLの話に入っていきたいと思います。僕は学生時代から「善さん」のことを知っています。まさにTOSS中学の最先鋒でご活躍されていました。その善さんが、定年まで学校の先生を続けずにお辞めになられて、WING SCHOOLというものを立ち上げるんだと、当時、風の噂で知ったんです。本当に、突然のことでした。
「オルタナティブ」という言葉は「もう一つの選択」という意味なんだけど、「これがきっかけでWINGを立ち上げようと思った」というような、原体験みたいなものはあるんですか。
田上 一般の人に、よく「公立学校が嫌で自分で立ち上げたんだろう」と誤解されることがあります。でも、実は、そうじゃないんです。TOSS時代の私を知っている人はわかると思うんですが、公立学校時代もすごく楽しんでいたんです。でも、WING SCHOOLを開校する10年ぐらい前の出来事なんですけれど、子供たちと毎日「おしゃべり会」というのを昼休みにやっていました。毎日、夢や希望を語り合っていたんです。その中で自然と、「あ、なんか、俺、学校を創りたいんだよね」となって(笑)。
小嶋 ぽろっと出た。
田上 ぽろっと。「修学旅行なんかは、あなたたちのご家庭がお金を払っているのに、先生たちが勝手に行き先を決めて、うるさいことを、ああだ、こうだ、言われながら行くことになる。そういうのって、なんかつまらなくない?」などと言うことを話していて。それで、「自分たちで企画して、行き先もやりたいことも決めるようにしたら、すごく力が付くと思うんだよね」という話になって。中学生とそういう話しをする中で、何か自然と「学校を創ったら面白いよね」という考えが出て来たんです。
本気になったのが、どの学校でも自分の実践はできるけれど、転勤する度に実践が消えていく。だから、定年を迎えたときに、教育界に何も残らないなと思ったからなんです。だったら、僕は、教育改革から世の中を新しい時代にしたいという思いもあるから、「それなら、いつでも観に来ていただいて、いつでも発言できるようなスクールを創っちゃえ。教育界に残せるスクールを作っちゃえ」と、その思いが止まらなくなったんです。
小嶋 なるほど。
田上 本気でそのことを話し始めてから、2年で立ち上げました。
小嶋 僕も当時、それを聞いていました(笑)。「田上先生が創るらしいよ」みたいな。
田上 公立学校と別物を創ったように思われるけれど、実は、公立学校時代に僕がやっていた教育がWING SCHOOLのベースです。それが結局、公立の中で非常に別物だったということはありますけれど(笑)。
だから、当時、昼休みに「学校を創りたいんだよね」という話を一緒にしていた中学生が卒業して、後々、うちのスクールに来てくれたんです。それで、「同じ空気感でやっていますね」と言って。その子は今年からうちで働き始めたんですよ。
小嶋 そうなんですよ! 僕もWING SCHOOLにお邪魔したとき、教え子さんが働いていて、びっくりしたんです。しかも、TOSS時代の善さんの実践報告に出てくる、活躍してた女の子で。僕のセミナーとか講座で拝見したことがあったお子さんだったので、さらにびっくりしました。
田上 そうですよね。
小嶋 そういう縁も引き寄せちゃうんですね。
(「2,オルタナティブスクールを立ち上げて」に続く 2024.2.22アップ予定)
この対談の続きを少しだけ動画で公開いたします!
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田上善浩(通称:善さん)
熊本県(市)公立中学校英語教師として29年間勤務。
英語授業やクラスの「中学の奇跡」と評された学級経営や授業などでの子ども達のパフォーマンスの高さが話題となり、セミナー講師として北海道から沖縄まで約100回セミナーを開催。その間、2000年より自宅にて月1回の授業研究サークルを主催し、先生達や学生達を指導。
2018年4月に一般社団法人WING SCHOOL(小1〜中3の90名)を代表理事・校長として開校。(http://wingschool.jp/)
「感性」「知性」「創性」の三層で「幸せな未来を築く力」をつけるための教育を展開。現在、小学校から大学までの設立を目指し、教育界から一人一人が自分らしく輝く新たな時代を築き上げようと活動中。
小嶋悠紀
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/
© 2024 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan