小嶋悠紀の特別支援教育コンパス第9回 【人的環境調整を実現する「特別支援教育 クエスチョン8」で校内研修を実現するVOL.4】
2023年4月より「ささエる」編集長・小嶋悠紀の週1連載が始まりました!
メンバーシップにご登録された方は毎週金曜日に、それ以外の方は月1回第1金曜日の分だけお読みいただけます!
今回は第1金曜日ですので、どなたでもお読みいただけます!
前回までの連載で「ADHDに関する基本的な項目」について解説を行った。これで、ある程度「教室における不注意傾向の子供たちの実態を掴む」ことができたと思う。
今回からASDについての質問に答えられるかをチェックしていきたい。
Question4 ASDを日本語訳してください
これについては、近年かなり認知度が上がってきているので、答えることができる先生も多いだろう。
Ansewr4 自閉スペクトラム症
である。
私が大学生の時は、この呼び名ではなかった。
「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「自閉症」などの呼び名に細かく分かれていたのだ。
特に、学校の先生方であれば、「アスペルガー症候群」という呼び名をよく耳にしたことがあるだろう。
しかし、この細分化が混乱を生んでいたことを私たちは承知しておかなければならない。
当時は、まだまだ特別支援教育に関しては黎明期であった。
この時代は、
「ADHDには〜〜〜をする」
「高機能自閉症だから構造化支援」
「アスペルガーは対人関係の障害」
というように、障害名で様々な症状や対応を区切っていた。
もちろん、それはそれで効果はあったのだが、実は弊害も大きかった。
「アスペルガーだから、この支援でいいはずだ」
「高機能自閉症だから、この支援が効かないはずがない」
という柔軟さに欠けた支援が多く展開されていた事もあった。
自閉スペクトラム症は、「スペクトラム」という言葉が表すように、まさに
虹色の状態
ということだ。(※)
「これが自閉症!」という確定した状態ではなく、
「こだわりが強い子供も弱い子供もいる」
「集団になじめない子供も、なじめる子供もいる」
「過敏性のある子も、そうでない子もいる」
「自閉特性を1つしかもたない子も、2つ以上もつ子供もいる」
といったような「『スペクトラム状』に症状や状態が展開されている」という意味をもつ。
この概念の登場で、学校現場では、「個別のアセスメント」「個別の合理的配慮」がより意識されるようになったことは間違いがない。ぜひそんな歴史的背景も読み取って欲しい。
●小嶋悠紀プロフィール●
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。
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© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan