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その子のペースで進め、褒め続ける

徹底した「スモール・ステップ」と「褒め」が、子供自身の変容を生み出す。

福岡県公立小学校教諭 田中稜真



2年生として、読み書きに大きな課題を抱えていたAを担任しました。
学習状況の引き継ぎで、Aが学習に対して、すでに苦手意識を感じていることが分かりました。
そのため、Aと授業を進めるときに意識したのが、次の2つです。


①    Aのペースに徹底して合わせたスモール・ステップ。
②    強烈な「褒め」による成功体験の強化。

1.Aのペースに徹底して合わせたスモール・ステップ

2年生になって最初の漢字10問テスト。
一生懸命練習を続けるAですが、新出漢字をなかなか覚えることができず、テストを嫌がっていました。そこで、次の手立てを取り、Aのペースで漢字テストを行いました。

①    まずは自分の力でテストに挑戦する。
②    書けなかったところは、「あかねこ漢字スキル」を開いて答えを確認
  し、指書きで練習する。
③    練習が終わったら「あかねこ漢字スキル」を閉じて、漢字テストを再開
  する。

丁寧に書くことを条件に、分からなかったら答えを確認して良いことにしました。
そうすることで、Aは安心してテストに取り組むことができました。
10問中2問ほどしか、自力では書けませんでしたが、途中の答え確認によって、正しい漢字を全て書くことができ、見事に100点をとることができました。
保護者にそのことを伝える一筆箋を書いて手渡すと、飛び上がって喜んでいました。
それ以降、漢字以外の様々な学習に対しても、積極的に取り組むようになりました。

2.強烈な褒めによる成功体験の強化

学習に対するネガティブなイメージを払拭したAは、自主的な学習に取り組むようになりました。
そこで、一筆箋だけでなく学級通信でも取り上げ、さらに強く「褒め」を行うようにしました。

学期が進むごとに、Aは学習に対して少しずつ自信を付けていき、答えを見なくても7、8問を自力で解けるようになりました。
繰り下がりの引き算も、自分のペースで正答することができました。

「褒め」による成功体験の強化が学習の苦手意識を取り除き、
A自身が一層力を出せるようになりました。

Aの変容から、大きな手応えを感じました。




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