<ミニ特集>あの子の学習の苦手さに対応する合理的配慮(小学校中学年)
その子に合った学習に調整する
その子が学びやすい方法、内容、場所に調整することで、学習に前向きになれる。
神奈川県公立小学校教諭 小塚祐爾
学習に対して非常に困難さを抱えるAくんを以前担任した。特に、国語と算数に対して学習を避ける傾向があった。
一方で、パソコンを使った学習には、進んで取り組むことが多かった。そこで、Aくんが学習に取り組めるよう、学習の調整を行った。
以下に、対応を述べる。
対応1 学びやすい方法で学ばせる
書くことに非常に困難さを抱えるAくんであったが、パソコンで入力することは得意であった。
そこで、ノートに書く代わりに、パソコンで入力することを認めた。そうすることで、困難さを軽減することができた。
また、読むことに困難さを抱えていたが、動画を見て情報を得ることは得意であった。
そこで、社会科などで調べ学習する際は、NHK for schoolを活用させたり、時には、YouTubeを活用させたりした。
対応2 学ぶ内容を調整する
算数の学習に、抵抗感が強かったAくん。当該学年の学習をするのは非常に難しかった。
そこで、保護者と相談し、当該学年より下の学習内容も授業中にプリントで行った。そうすることで、本人の力に合った学習をすることができた。取り組んだプリントはファイリングをした。プリントが増えるのを喜び、親に見せるために嬉しそうに持ち帰っていた。
対応3 学ぶ場所を調整する
暑がりだったAくん。時に、「涼しい廊下で勉強したい」と言ってきた。そこで、時には課題を設定し、廊下で学習することを認めた。彼は廊下で、黙々と課題に取り組んでいた。
これらの対応には、他の児童の理解も必要である。きちんと説明しておきたい。
【特徴】
・小学校中学年A くん。
・該当学年の学習に対して困難さを抱える。
・ 国語や算数などには、特に困難さを抱え学習を避ける傾向があった。
・一方で、興味をもったり、できると思ったりすれば取り組む。
・ パソコンスキルがあるため、パソコンを使った学習には、比較的前向きに取り組むことができた。
NG 対応みんなと同じ量、同じ方法を強いる
学習に対して非常に困難さを抱える児童である。
みんなと同じ量の学習をさせようとすると、拒否する可能性が高い。また、その児童の得意な学び方を無視して、無理にみんなと同じ学習方法を強いるのも良くない。
その児童に合った量や方法を提供していく必要がある。
効果のあった対応1 学びやすい方法で学ばせる
書いたり、読んだりすることに困難さを抱えていたAくん。しかし、パソコンを使って表現したり、動画を使って情報を集めたりするのは得意だった。そのような方法を、意識して多く取り入れた。
効果のあった対応2 学ぶ内容を調整する
算数の学習に非常に抵抗感が強かった。保護者と相談し、該当学年より下の内容のプリントを授業中に行うことにした。Aくんも、取り組んだプリントがたくさんファイリングされていくのを喜んでいた。
効果のあった対応3 学ぶ場所を調整する
非常に暑がりだったこともあり、自分から涼しい廊下で学習したがるときがあった。学習の課題を設定し、取り組むことを約束して、廊下で学習することを認めた。
※特別支援教育について、より詳しい情報を知りたい方は『TOSS特別支援教育第23号』をご購読ください。
<お申込み・お問合せ先>
TOSSオリジナル教材HP https://www.tiotoss.jp/
© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan