<第3号ミニ特集>若手教師の特別支援教育実践③
特別支援教育に携わる若手教師たちが合宿を行い、それぞれの実践を報告し合いました。若手たちのフレッシュな実践の数々をご紹介いたします!
(構成:「ささエる」編集部)
11、「コミック会話」で自分を客観視させる
腹が立つとすぐ我慢できず物理的に止めようとする5年生男児。話しても自分がやったとなかなか認めようとしない。2年男児とトラブルになったとき、「コミック会話」というものを使って自分のしたことを客観視できるようにした。
簡単なイラストを描いて「何がいけなかった?」と聞くと「2年男児を追いかけたこと」など自分でよくなかったことを答えることができた。「この行動は○○君が考えてくれた通りよくなかったよね。どうしたらいいかな?」と聞くと自分で「謝る。腹が立ったときはまず先生に言う」とどうするか考え、教えてくれた。パペットやぬいぐるみを使って次同じことが起きたら先生に言う練習(ソーシャルスキル)をやった。それが直接関係したかは分からないが少しずつ男児は穏やかになっていった。
(ふじたみお)
12、廊下が居場所だった子供が教室に帰ってきた!
廊下にある少し凹んだ場所。そこに小さくなってうずくまる男の子。間違えるといじけてしまうのだ。すすり泣いているようだった。しばらくして落ち着くと、ドアの外の窓からひょこひょこと教室の様子を伺っているのが見えた。可愛らしかったので思わず、とっておきの盛り上がる授業を急遽始めた。教室は大いにわいている。気付くとドアを開けて中に入ってくるのが見えた。黒板を見ているようだ。自分の席まで戻ってきた。皆に混ざって発言をし始めた。授業後にたくさんたくさん褒めた。頭をぐりぐり撫でた。その子はいじけても、すぐに教室に帰ってくるようになった。が、ある日、中休み終わりに教室に帰ると段ボールの家ができていた。周りの友達が「だってベッドがあったらそこで休めるでしょ」と男の子のためにつくったらしい。その日からその段ボールが、その子のベッドルームになった。
(丹羽美雪)
13、プルチックの感情の環を使って自分の気持ちを表現させる
プルチックの感情の環として人間の基礎感情の8つ。喜び、信頼、期待、恐れ、怒り、驚き、悲しみ、嫌悪。イラストでネット上にあがっているものがある。これをプリントアウトして、教室の入り口に貼っておく。朝、教室に来たときに今日の気分は?と聞いて、指差しで気持ちを聞く。毎朝やることで、自分の気持ちについて自覚して、表現することができる。教師にとっては、今日の調子や顔色をアセスメントできる。1年生の時には、まったくしゃべらなかった児童が2年生の3月には毎朝、今日は嬉しい気分。と自分から教えてくれるようになった。
(柳町直)
14、筆算を使って長さの単位の計算に挑戦!
知的な遅れのある小4男児。
2桁の足し算引き算はできるので、長さの単位の計算に挑戦した。案の定㎜と㎝をごちゃまぜにして計算してしまうので、単位ごとに分けて計算できるよう区切りをつけて筆算の形にしてみた。筆算をして、上に書いてある単位をそのまま下に下ろす(書き写す)だけでシンプルなためか、その児童は単位がごちゃつかずスムーズに計算できるようになった。その後mとcmでも同じように筆算で答えが求められ、最終的には筆算がなくても単位ごとに分けて計算し答えを求められるようになった。
(藤田三央)
15、学習障害(LD)はよくなるものではなく、一生付き合うもの
1 学習障害は治すものではない
学習障害は学習面でのみ課題が見られる症状である。読み、書き、計算等に極端な苦手さがある。だが、経済的・環境的な要因は関係がない。それにもかかわらず、「学習障害はいずれ治るもの」という認識の教師もいる。学習障害はよくなるものではなく、一生付き合うものとして、教師側が支援することが必要だ。
2 読字障害に対応した作り方
読字障害とは、文章の読みや意味を理解するのが難しく、読むことに困難を感じる状態である。そのため、ルビつきの考査問題を別に作成する必要がある。しかし、Wordでつくろうと思うと難しい。そこで役に立つのは、一太郎というアプリである。
一太郎でルビを振らせる方法は次の通りである。
これを行うことで、いちいちルビを振らずとも、一括でルビを振ることができる。
(宮川遥)
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