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子供の成長を支えるお母さんと教師の連携プレー

子供の成長には家庭と学校のチームワークが欠かせない。

宮城県公立小学校教諭 菅野祐貴



小学3年生の太郎ちゃん(仮名)。年度始めの引き継ぎでは、「休み時間の友人トラブルが絶えなかった」と聞きました。引き継ぎで受ける内容はその教師による主観である場合も多いです。なぜなら、「トラブルが絶えない」と感じるのは人それぞれだからです。従って、引き継ぎの際には、トラブルの回数、曜日による回数の変化、起きる前には何があったのか、などこれらを客観的な事実で伝えることを意識したいです。
これは保護者に対しても同じです。「トラブルが絶えないです」では、曖昧です。不信感にもつながります。

太郎ちゃんが4年生になったとき、私が担任になりました。始業式から最初の三日間で良いところを取り上げ、褒めることを強く意識しました。この期間を向山洋一氏は「黄金の三日間」と名付けています。

「教師にとって、最初の三日間ほど大切な日はない。この三日間は、黄金の日々である。この三日間だけは、子どもたちは天使の如く素直であり、教師の言うことを何でも受け入れようとする。」

向山洋一HPより https://mukoyamayoichi.com/works/work08

私は太郎ちゃんを褒めるだけではなく、その事実を保護者にも伝えたいと考えていました。なぜなら、トラブルが起きるたびに何度も学校から連絡をしていたと聞いたからです。マイナスではない子供の姿も知ってもらわなければなりません。そうは言っても、事実は保護者に伝えなければなりません。他の保護者から聞いた際に、知らなかったということになったら大変だからです。しかし、それが事実であっても良くない報告ばかりでは、学校からの電話を受けたくなくなってきます。

4月の登校から2日目、私は太郎ちゃんのお母さんに電話をかけました。教科書配付の際に一生懸命に手伝いをしてくれたことを伝えたかったのです。しかし、お母さんからの最初の一言はこれでした。「太郎がまた何かしましたか!」それだけ心配なのです。

私が担任になってからしばらくして、学校では落ち着いた生活を送れる日も増えてきました。そうは言っても、そんなに人間はすぐには変わりません。太郎ちゃんが朝から家で機嫌が悪いとき、強く叱られるようなことがあった際には、お母さんが登校前に連絡をくださいました。そのため事前に対応方法を考えることができました。

夏休みまでの間に何度かトラブルを起こすこともありました。お母さんにも電話でお伝えしました。私は毎回最後にこう言いました。「他の保護者の方からお聞きして、びっくりされてはよくないので事実だけお伝えさせていただきました。学校でしっかり反省していたので、おうちでの指導などはなさらなくて大丈夫です」と。

私は、時々一筆箋に太郎ちゃんの良い行動を書いて、お知らせをすることもありました。最後には、「御家庭での指導の賜物だと感じます」と書きました。

それから2年後、太郎ちゃんのお母さんと校内で偶然お会いしました。「あのときもらったお手紙、額縁にいれて飾っています」と声を掛けていただきました。

どの子も良いところがあります。良い子になりたいと考えています。だからこそ、良い行動、頑張ったこと、頑張ろうとしたことは励まし続け、保護者にもそのことをお伝えしていきたいです。
子供が学校で頑張っている様子をお伝えすることが、担任と保護者が力を合わせるための出発点です。


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