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<ミニ特集>ICTと生成系AIと発達障害の子供③

子供だけで自由には使わせない。教師と限定的な場面で使い、体験させながら仕組みを学ばせる

北海道公立小学校教諭 塩谷直大

1 「BingAI」の画像読み取り機能

 生成AIの1つに「BingAI」がある。
「BingAI」は、マイクロソフト社が提供する検索エンジン「Bing」にAIが
組み込まれたチャットシステムだ。対話形式でユーザーの疑問に回答できたり、小説などの文章を生成できたりする。
「BingAI」には次の機能が搭載されている。


画像の読み取り


文章だけではなく、画像も一緒に入力して、質問や指示ができる機能だ。この機能を活用して、特別支援学級の五年生男児1名(太郎君:仮名)に、社会科『あたたかい地方のくらし』を授業した。

2 写真の読み取り

 授業の最初に上の写真を提示した。
 那覇市のモノレールを撮影した写真である。私は「写真AC」というサイトで会員になっている。授業で使えそうな写真を検索できる。今回の写真も「写真AC」で検索した。
 タブレットを使って、太郎君に写真を見せた。どこで撮影した写真かは説明しない。見せるとすぐに反応が返ってくる。
「あっ! 電車だ! モノレールかな?」
(すごいなあ! よく見てるね)
「グーグルで調べてもいい?」
(もちろんいいよ!)
 写真から読み取ったことをいきなり書かせるのではなく、まずは教師と写真について、「おしゃべり」する活動から入った。教師は子供の発見や思ったことを受け止め、褒めてあげる。さらに、「モノレールを調べてみたい」という提案も採用し、調べる時間をとった。こうすることで、内部情報が蓄積し、この後の活動に取り組みやすくなる。

3 ノートに箇条書きをさせる

この後、向山洋一氏の指示を追試した。
【指示】 この写真を見て、わかったこと、気づいたこと、思ったことをできるだけたくさん、ノートに箇条書きにしなさい。
 教師と話した内容を書けばいい。あっという間に8個もノートに書くことができた。
「8個も書いてすごいなあ!」と褒めた。子供はニコニコしている。

4 生成AIに写真を読み取らせる

「実はね、先生は、この写真でAIがどれぐらい書けるか調べてきました」
 そう切り出した。子供はAIと聞いて身を乗り出す。「BingAI」に同じ写真を読み取らせて、同じ指示をしている様子を動画で撮影してきたのだ。
 動画を再生する。写真を読み取っていく様子を太郎くんは興味深そうに見つめていた。
 AIは以下のことを読み取った。
①都市部にある高架式のモノレールの列車が走っている写真です。
②列車はグレーと赤色で、現代的なデザインをしています。
③軌道はコンクリートの柱に支えられており、建物や車が走る道路の上を走っています。
④背景には、様々な建物や構造物がある都市の景色が広がっています。

「AIは4個のことを読み取ったね」
「太郎君は8個も書いて、AIより多いね! すごいね」と言って褒めた。事前にAIは4つしか書かなかったことが分かっていたので、このように褒めることができた。太郎君はとても嬉しそうだ。
【発問】 AIが読み取ったことを見て、さらに思いついたことはないかな?
 すると子供は、「僕はもっと書くことを思いついた」と言った。そして、さらに3個、写真に映っている「建物」に関することを書き出した。動画を見る前まではモノレールに関することばかりだったが、AIの回答を見て、建物にも注意を向けることができたようだ。
「素晴らしい!」と強く褒めた。
 その後、AIは大人と使うこと、個人情報が含まれている画像は使わないことを説明した。
 生成AIを子供に自由に使わせることは、小学校段階ではリスクが大きい。まずは、教師と限定的に使い、生成AIの仕組みを学んだり、新しい視点をもたせたりするようにしていきたい。


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