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私の対応が、関わり方のお手本になる!

発達障害の子供とほかの子との関係づくりは、教師がどのような言葉かけや見方をしているかによって決まる。

東京都公立小学校教諭 牧野花代



発達障害の子供に対して、その特性を理解することはもちろんですが、それ以上に、その子と他の子供との関係づくりについて、私は迷うことが多いです。
教師である私のその子への接し方は、ほかの子供にとってはその子との関わり方のお手本にもなるため、誤った接し方をするとその子の学級での居場所を脅かしてしまうことにもなりかねません。
これまでの経験を振り返り、私が対応に迷った子供の行動について以下にまとめました。

(1)頻繁に友達とトラブルになる

注意欠如・多動症の児童。自分の解釈で状況を判断してしまうところが多く、相手の気持ちをすぐにつかむことが難しいのです。そのため、相手にそのつもりがなくても自分の解釈で判断し、思い込んでしまい、トラブルを起こしてしまうことが多いです。

トラブルには大小ありますが、一方的な思い込みによって、かっとなって手を出してしまったりすることも多くありました。

トラブルになってしまう前に、「胸がざわざわしたら先生のところに来る」という約束を本人と交わしました。そうすることで、トラブルを未然に防ぐことができました。

話す内容は、本人の一方的な解釈であることが多いです。しかし、その点を指摘するのではなく、「かっとなる前に、ちゃんと言いに来れたね。」と褒めます。
「えらいね」とたくさん褒めます。それを繰り返していくうちに、徐々にトラブルの回数は減っていきました。

「本人の思いをまず受けとめること」を重視して対応しました。しかし大切なことは、相手の子供の心もしっかりとケアすることです。

そうでなければ、この対応は、その子だけ「特別扱い」していると見られかねません。

また、例えば、相手をケガさせてしまうような行動については、どんな理由があろうとも許されないことを、みんなの前でしっかりと指導する必要があります。

「その子だけが許されている」という感覚を他の子がもたないような配慮をしたいです。しかし、そのタイミングやバランスが難しく、迷ってしまうことが多いです。

(2)集団行動に遅れる

注意欠如・多動症の児童。たくさんの指示は処理しきれない、別のことに注意が向いてしまう、こだわりがあって切り替えが難しいという特性が原因で、先生の話を聞き逃してしまうことが多いです。

そのため、集団で動くときには、周りよりも遅れてしまうことが多いです。

全体に指示を出した後、もう一度個別に声をかけることで対応してきました。また、集団が成長してくると、周囲の友達がその子に声をかけてくれることが増えました。

私が心がけていたことは、遅れていることを「目立たない」ようにすることです。そのため、「個別に」声をかけたり、あらかじめ次の動きを伝えておいたりするようにしてきました。

逆に、遅れることをみんなの前で叱ることはしないように心掛けました。
そのような注意は周囲の子も模倣するため、その子が責められる状況につながりかねないからです。


© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

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