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<ミニ特集>ICTと生成系AIと発達障害の子供④

生成AIとの討論で新しい「夏休み案」を生み出した

千葉県公立中学校 吉原尚寛

1 生成AIと討論は可能か

ChatGPT(https://chat.openai.com/)という生成AIを用いて「夏休みは必要か」というテーマで討論を行った。今回は特別支援学級の生徒4名と共に、2時間にわたっての討論が行われた。
 
 最初にChatGPTに次の指示(プロンプト)を出した(OpenAIの規約上操作は教員が行った)。
■「夏休みは必要か、必要ではないか」について、議論したいと思います。あなたは、夏休みは必要ではないという立場で討論をしてください。■
 すると、ChatGPTから即座に返答があった(下画像)。

 A君はこの回答に対して、「先生、夏休みは宿題が出るから連続性
はあると思います」と言った。生徒たちは納得し、次にこの意見を
C h a t G P Tに提出した。
■学習の連続性についてですが、学習が連続するために夏休みには宿題が出されます。だから、忘れる可能性は低いと思います。■
 これに対して、ChatGPTは「宿題への取り組みの差」「宿題の内容」「自主学習の能力」を指摘。それぞれが夏休みの宿題では学習の連続性をカバーできない理由として示され、生徒たちは納得した。
 ソーシャルスキルの維持については、次のように反論を試みた。
■現在はネットの環境もあり、人と人との関わりが少なることは、夏休みでもないと考えます。さらに、ネットがなくても家族との関わりがあればそれでよいと考えます。■
 ChatGPTからは、「オンラインと対面の違い」「多様な関係性の形成」という視点が提出され、生徒たちは再び納得した。こうした経過を経て、1時間目が終了した。

2 討論から新しい夏休み案が生まれた

 2時間目は、2名のメンバーを交代して授業を進めた。再度ChatGPTに討論を依頼したところ、「深く掘り下げる」か「新しい視点」から議論を進めるかの提案が出された。このフレキシビリティこそが、最新生成AIの素晴らしい点である。我々は「新しい視点」からの議論を選んだ。ChatGPTは、「夏休みによる親の負担」「教師の業務負担」「夏休みの学習損失」という新たな視点を提出した。
 ChatGPTの意見を踏まえて生徒と反論を考える中で、ある生徒が、「夏休みが長すぎるから短くすればいいんじゃないですか?」と提案した。全員が納得し、いくつかの夏休みパターンを考案。これらの新しい夏休み案をChatGPTにぶつけてみた。その結果、ChatGPTは、長期の休みがないと家族での旅行や休暇がとれないと反論した。しかし、我々は、日本では海外旅行に行かない限り、1週間以上の旅行はほとんどないと反論した。
 その結果が以下の返答である。
■確かに、旅行の期間は家族や個々の状況によりますね。実際には、多くの家族は長期間の旅行をする機会は少ないかもしれません。そのため、毎月1週間の休みがあるという案( A 案)は、日常生活にうまく組み込むことができ、生活のリズムを保つのに役立つ可能性があります。■
(この柔らかな口調は、「中学生にも分かるように答えてください」という指示を与えたからである)

生徒たちは、自分たちの意見がChatGPTに認められたように感じ、討論を終えることができた。私自身も、子供たちからこのような折衷案が出てくる
とは想像していなかった。生成AIの特徴を理解し、上手に活用していく方法を、これからも子供たちと共に考えていきたい。
 最後に、この論考をChatGPTに講評してもらった。
■生成AIは教育の未来を形成するための重要なツールであり、今後もそれを活用し、生徒たちとともに学び、成長していくことを期待しています。■

※なお、千葉県の多くは夏休みが42日間なので42日間と入力した。


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