聴覚障害児も笑った! TOSS音楽指導(3年間の軌跡)②
ろう学校でTOSS音楽実践2年目。リトミックやすごろく型ルーブリックで歌唱活動を楽しみながら、聴覚活用の態度を育む実践。
高知県立特別支援学校教諭・小松賀恵
1,リトミックに挑戦する
この年は、幼稚部より女児2名が小学部に入学してきました。人前で堂々と劇を披露し、運動会でもノリノリでダンスができる女児2名は、音楽に合わせた身体活動にもすんなりなじめました。そこでリトミックのコマを設定し、次のようなことに取り組みました。
・「きらきら星」の音楽にあわせて8こかんで動くこと。
・音の違いを聞き分けて「歩く」「走る」「止まる」の3つの動きができること。
①タンタンタンタン(四分音符)…歩く
②タタタタタタタタ(八分音符)…走る
③太鼓の音を連続して タタン……止まる
一番難しかったのは、「止まる」ことでした。
特に、タタタタで走ったあとの、タタン(止まる)は聞こえていないのか、八分音符との区別がしにくいのか、T.Tで入っている教員の言葉がけがなければ、止まることができなかったのです。
そこで、ある方針を立てました。
「子供たちにとって、成功体験になっていない活動は、毎授業に取り入れない」です。
次の授業では、できた活動に戻し、また次の授業では、新しい活動をやってみることにしました。新しい活動でいい結果が見られた時に、できなかった活動をやってみてできる時があります。その時に力強く褒めていきました。
「すごーい。前は、太鼓の音を聞いても止まれていなかったのに、できてるね~」と…。
2,ルーブリックを使った歌唱活動
音を聞く意識が高まってきたところで、次は「とんび」の歌唱指導を行いました。
すごろく型の「とんびルーブリック」を作成し、5~6時間計画で進めました。
〇1時間目:導入
発問:鳴いている動物はなんですか
(鳥、カラス) そう鳥、(カラス)だよね
(鳥の鳴き声)では、(ピーンヨーーロロ・・) (・・わからない)
説明:鳴いている鳥は、こちらです。(動画視聴) 「とんび」です。言ってみよう
指示:聴きましょう。(音楽を流す)「とんび」という言葉がきこえたら、手をあげるよ
〇2時間目:オノマトペを注意して聞き、ピンヨロだけを歌う
〇3~5時間目:交代歌い、ペア歌い、問答歌いを体験する
〇6時間目:仕上げにルーブリックを活用して、いろいろな条件で歌う
タイトルは、「とんびになって日本をまわろう」とし、6つのミッションをこなし、「大達人」を目指す ものとしました。「とんび」を知ったことで、時々、校舎の上を旋回しているとんびの鳴き声に敏感に反応する声が聞こえるようになりました。
(第3回「聴覚障害児も笑った! TOSS音楽指導(3年間の軌跡)③」に続く2024.7.25予定)
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