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書字が苦手な子が、書き始めた! 「ふみおくん」の効果

多動で書字が苦手な中学年Aくん。鉛筆を持って運筆系のドリルに取り組むこと数分。体が震え、「嫌だ〜」と言い出し、3分ともちませんでした。
「ふみおくん」の使用により、10分以上書き続けることができるようになり、自信を取り戻すことができました。

東京都公立小学校教諭 小林智子



「ふみおくん」は、教育技術研究所から販売されているセンサリーツールです。
センサリーツールとは、センサリーニーズ(感覚欲求)に応えることで、子供たちの感覚に働きかけ、様々な行動調整を行うための感覚刺激教具です。

以前、特別支援学級(情緒)の担当をしていた時に、この「ふみおくん」を子供たちに使いました。
主に、じっと座っていることが苦手なお子さんに使っていました。

ある年、IQが非常に高く、書字が苦手なお子さんを担当しました。

鉛筆を持って線を引くことすら嫌がっていた中学年の男の子でした。授業中にじっとしていられず、思い付いたことを話してしまい、叱られることが多かったのです。自己肯定感の低さが気になっていました。
 
「ふみおくんを試してみよう!」
 
そう思って、その子の椅子の脚にふみおくんを付けて、視写の学習をさせてみました。
 
「これなら、書ける!」
 
ふみおくんに足を乗せ、ぶらぶらさせながら、10分以上も、字を書き続けることができました。
 
「俺もやればできる!」
 
彼は満面の笑みで、記念写真を撮り、お母さんに見せました。
 
「じっとしなさい」
 
と大人は言いがちです。我慢する力も必要だ、と思うからです。しかし、それは「書く」という活動をさせたいときに、身に付けさせる力ではないのではないか、動きながらでも学習に取り組めれば、その子が必要とする力が付けば、いいのではないかと思いました。

「動いていた方が読書や仕事に集中できる」
大人にも、そういう方はいます。 

合理的配慮を提供することができる「ふみおくん」。
通常学級でも使っています。


© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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