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<有料マガジン・メンバー無料>編集長対談 小嶋が行く! 第1弾:NPO法人翔和学園 伊藤寛晃学園長 【第1回 発達障害の子は就労できるのか】

「ささエる」の小嶋悠紀編集長が、様々な人たちと特別支援に関する対談をするコーナーが始まりました。
第1弾の対談相手はNPO法人翔和学園の伊藤寛晃学園長。
この対談のテーマは「発達障害のある子供への就労支援」です。
第1回は「発達障害の子は就労できるのか」です。
※有料マガジンですが、今回の記事は無料でお読みいただけます。
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※記事の最後に続きの対談風景の動画を収録しています。

小嶋 「ささエる」対談の第1弾ということで、翔和学園の伊藤先生においでいただきました。
伊藤 よろしくお願いします。
小嶋 よろしくお願いします。今日は、ずばり就労のことについてお話をしていただきたいと思っております。まず、すばり聞きますけれども「発達障害の子は就労できるのか?」、これにお答えいただきたい。
伊藤 できます!
小嶋 できる。(確認)
伊藤 はい。できます。
小嶋 なぜ「できる」と思われているのか、また実際に事例があれば、「ささエる」では保護者の方とか学校の先生たちを含めて、いろんな方々が見ているので、是非希望を語ってください。

伊藤 まず、「なぜできるのか」ということについては、そのような仕組みがあるからです。その仕組みというのは、大きく分けると、障害者手帳などを取得した「障害者枠」で就職するという形と、そうでない形です。どちらにしても、発達障害の子たちが就職するという道は確実にあるということだけは、まず明言しておきます。

小嶋 なるほど、確実に就職ができると。保護者の方とお話をしていると、障害者枠での就職・就労ということに、すごくマイナスの見方をしています。そういう保護者の方が多いのです。「きちんとした仕事じゃないんじゃないか」「結局、私たち(保護者)が面倒を見ながら、自立というまでに行かずに仕事をしているんじゃないか」というイメージをもっているのだと思うんです。そのイメージは、そもそも合っているんですか。

伊藤 半分合っているような、合っていないようなというところですね。実際、障害者枠での就労が満点の願望どおりかと言ったら、そうではないかもしれません。メリット・デメリットが当然あります。
いちばん大きなメリットは、当然、理解と配慮を得られるということです。理解と配慮がある中で、安全に安心して働けるというのがやっぱりあります。

伊藤寛晃 学園長

 それから、もう一つ大きなメリットとしては、従業員が一定数以上の規模の事業主に対して「社員数の一定割合、障害者を雇う」という「障害者雇用率制度」があります。そのため、障害者を多く雇う企業というのは都市部にある大きな企業が多いんですよ。ということは、企業としての基盤がかなりしっかりとしている企業が雇ってくれる。そういう意味では、就職先はとても安定的な会社、よく名の通った会社であることが多いです。

小嶋 なるほど。雇われる側としても、ものすごく安心して委ねることができるということですね。逆に、障害者枠じゃない、正規雇用で就職したという事例も伊藤先生はおもちだと思うんですけれども、そちらについてはいかがですか。

伊藤 まず、当然、初任給が違います。ただ、そうなると、他の一般の子たち、例えば、普通に大学を卒業してきた子たち、高校を卒業してきた子たちと、まったく同じ土俵で働くということなので、当然、同じ結果を求められます。そのため、かなり消耗してしまうのは間違いないです。障害者枠の子たちは、やはり給料はちょっと低めで、最低賃金の所がけっこう多かったりしますが、安心安全です。ですから、どちらのメリット・デメリットを取っていくかという選択になるんだと思います。

小嶋 なるほど、「就労したからそこがゴール」というわけではなくて、発達障害の子であろうがなかろうが、労働をし続けなければならない、つまり粘り強く働かなければならないわけですよね。そういったときに、やっぱり障害者枠の方が粘り強く働くには合っているという感じですかね。

小嶋悠紀 編集長

伊藤 それも、個人の向き不向きやタイプがあると思います。もしかすると、障害のある子でも、障害者枠では知的な刺激の部分で物足りなく感じてしまう人も、もしかしたらいるかもしれない。

小嶋 つまり、知的には高いんだけど障害者枠で就労した場合、与えられた仕事があまりにも知的ではなくて単純作業の繰り返しだと、やっぱり飽きちゃうんじゃないかということですか。
伊藤 ……という場合もあれば、知能の高い・低いには関係なく、変化や刺激が好きな人と、そうでない人がいると思うんです。IQがすごく高い人でも、変化を嫌い、いつも同じことをやっているととても心が落ち着くという人にとっては、単純作業の多い障害者枠はとても働きやすいと思います。仕事自体の刺激の強さ・弱さみたいなもので、向き不向きがあると思います。

(「2,アメリカで見た出口戦略」に続く 2023.6.23アップ予定)


この対談の続きを少しだけ動画で公開いたします!
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伊藤寛晃
1969年生。中央大学文学部卒業。学生時代に経験した大工見習いを卒業も継続。その後、かねてからの夢だった教師の夢を諦めきれず一念発起。塾講師、サポート校の教師を経て、2002年から『翔和学園』に勤務。2013年秋に学園長に就任。
NPO法人翔和学園 https://showa-gakuen.net/

小嶋悠紀
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。


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© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

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