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<教室でそのまま使える! クラス全員が熱中する教材集>発達障害の子も高得点がねらえる「しゅりけんチャレラン」

難しい計算は必要ないが、ワーキングメモリーをちょっと使いつつ、ひらめきで勝負できるぺーチャレ。


茨城県特別支援学校教諭 富山 比呂志

① ルールが2つだけ

ちょっと変わり種のペーパーチャレラン(以下、ペーチャレ)なのだが、これは計算が苦手な子にも比較的おすすめ。

十字をしゅりけんに見立て、大きなしゅりけん1枚と、小さなしゅりけん3枚を並べ、その中の数字を足すだけである。

しかし、ただ並べればよいわけではない。ルールは2つ。
 
(ア) しゅりけんを重ねて置くことはできない
(イ) 爆弾マークの上にしゅりけんを置くこともできない

 
この2つだけなので、ワーキングメモリーの働きが少ない子でも挑戦できる。
 

② 100点超えの並べ方をまねしてから工夫する

しゅりけんの並べ方の工夫がすべてといっていいが、初めての挑戦は成功体験にさせたい。

そのためには、〈例〉の置き方をまねさせて、100点超えの記録になるようにすることをお勧めする(〈例〉の配置にすると160点になる)。

いきなり100点以上の記録になれば、まずは嬉しい。おのずと2回目の挑戦は、先ほどの記録を超えたいがために、あれこれと工夫を始める。

〈例〉

これがまさに「拡散的思考(発散的思考)」の状態である。この状態になれば、少し点数が下がっても、いやもう一度、と簡単にはあきらめない。

もっといい記録を出したいと思うことも、いい記録が出るまであきらめないということも、自己肯定感の表れである。
 

③ 隠れた効果

なお、「やってはいけないこと」というルールを一時的にでもワーキングメモリーにとどめて、しゅりけんを並べる作業をすることによって、ペーチャレの結果とは全く関係ない、隠れた教育的効果が期待できる。

自己抑制、つまり「我慢」が身に付けられることである。ほんのちょっとだけの我慢の経験を、薄く薄く積み重ねていくことで、ルールやマナーを守り自分にブレーキを利かせつつ、自分がやりたいことに集中できるようになる。
 
ちなみに現在の日本チャンピオン記録は138点。
あるポイントに気が付くと、もしかしたら、高得点がねらえる並べ方をひらめきで見つけることができるかもしれない。


「ペーパーチャレラン」は、伊藤亮介氏が考案した「学習ゲーム」であり、精神医学の認知機能訓練プログラムとして注目された教材である。



※チャレラン教材へのお問い合わせ・お申し込みはTOSSオリジナル教材HPまで。https://www.tiotoss.jp/

※この記事は2015年10月1日発行の『TOSS特別支援教育 創刊号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/