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即実践! 支援を要する子を目立たせない指導

個人差と時間差を考えず、支援を要する子の「できないこと」を目立たせることは教師の敗北宣言。

福岡県公立小学校教諭 樺島直紀



支援を要する子は「できないこと」が目立ってしまう

できる子は、「褒められること」で目立つことができます。

しかし支援を要する子は、どうでしょう。
様々な学習場面で「できないこと」が目立つのです。

教師1年目、私の学級に勉強がとりわけ苦手なAさんがいました。

授業を開始しても準備ができていないAさん。

授業開始後、何をしていいか分からず、1人違うことをやってしまうAさん。

算数の問題が解けずに、突っ伏してしまうAさん。

私はAさんを叱り、Aさんの「できないこと」を目立たせていたのです。
そして、Aさんができないことを、いつの間にかAさんのせいにしていました。

しかし、これはAさんの責任ではありません。
担任であるならば、「できないこと」を目立たせないようにすることが大切です。

1.授業開始前にできることをやる

樺島学級の支援を要する子は、授業の準備ができないということが多くありました。

そこで、授業開始前に準備を手伝います。忘れ物があれば貸し出します。

教科書やノートを出し、授業開始に学習するページまで開いておきます。

叱る必要はありません。これで、悪い意味で目立つことはなくなります。

それだけでなく、「○○さんはもう開いてるぞ!早いなぁ!」と褒めることができるのです。

2.授業をルーティン化、誰でもできることから始める

私は、国語の授業の第一声を決めています。

「漢字スキル○ページ」

毎時間、チャイムと同時にこの指示から始めます。

なぜ漢字スキルなのでしょうか。

それは、ハードルの低い学習から授業に巻き込むことできるからです。
そして、授業がルーティン化することで、支援を要する子も何をすべきか分かります。

支援を要する子がすぐにやり始めていれば、そこを褒めることもできます。

3.支援を要する子の近くで「関所」を設け、全員を引っ張り上げる

「関所」とは教師が子供のできたことをチェックすることです。
例えば,算数の練習問題を解く場合、次のように指示します。

「1⃣の②までできたら、先生のところへ持ってらっしゃい。」

こうすることで、子供たち全員のノートが教師の目を通過します。

この時、教師は支援を要する子の近くで待ちます。

なぜか。問題が解けない場合、すぐに支援ができるからです。

「②まで」としたのは、支援を要する子でも、2問解けばノートを持ってこれるからです。

「2問も解ければよし!」と考えることも教師側の配慮の一つです。

4.「例示」を使い,不安をやわらげ,時間差を埋める

支援を要する子がなかなか解けない場合があります。
そんな時に行うことは、「例示」です。
早く問題を解いた子に板書させるのです。

こうすることで、黒板には解き方と答えがずらっと並びます。

支援が必要な子には、近くで次のように言ってあげます。

「黒板のお友達の考えを参考にしてもいいです。写すこともお勉強です」

このように伝えることで、支援を要する子供たちは解き方や答えが分かります。
そして学習への不安をやわらげることができます。

また、もう一つメリットがあります。

それは、早く問題が解けた子供たちが板書することで、支援を要する子供との時間差を埋めることができるということです。

このような4つの取り組みで、支援を要する子を目立たせず、さらには褒めることができます。


© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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