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<“あの子も変わった”教室での実践記~特別支援学級編~>パニックをなくすための取り組み

行動を観察し、そこから指導の方針を決めていく。適切な方針と指導のもと、問題行動が消えていく。

秋田県公立小学校教諭 間嶋 祐樹

一 毎日パニックのK君

K君は自閉スペクトラム症で、受け身型のタイプであった。
K君は毎日パニックになった。このパニックを何とかしたいと思った。
観察していると、パニックになる時は「不安な時」や「できない時」や「見通しをもてない時」であることが分かった。
そこで、方針を立てた。

二 具体的な対応

以下のような3つの方針を立てた。

⑴ すぐに不安になるので、スキンシップを多くとり、くすぐりなどを中心にセロトニンが出るような対応をする。
⑵ 不安になった時の対応を教え、できたらほめる。
⑶ 何をどのくらいやるのか最初に示し、タイムタイマーなどで時間を表示する。

毎日、10分ぐらいくすぐりタイムを設け、K君をくすぐり、スキンシップをとる。
K君はくすぐられるのが好きで、このくすぐりタイムを楽しみにするようになった。
楽しんで逃げるK君を間嶋が捕まえてくすぐるのである。
一学期中ずっと続けた。

三 変化が見える

変化が出てきたのは二学期であった。
パニックは減ってきたものの、依然としてなくならなかった。
学習発表会の練習の時だった。

「練習でつらくなってきたらこう言うんだよ。『先生、つらくなってきたので休んでもいいですか。』」

K君に示したボード。見える位置に置いておく。

この言い方を実際に練習させた。そして、タイムタイマーで練習がどのくらいで終わるかを示した。
ステージで練習していると、K君の顔が険しくなるのが分かった。
私がK君に近づいていくと、自分から「先生つらくなってきました」と言えたのである。
そこで、一度教室に戻って休むことにした。
何分したら戻ってこられるかを聞いたら「10分」と答えるので、タイムタイマーを10分にセットしてK君にもたせた。
K君は1人で教室に戻り、10分たったら自分で戻ってきたのである。これを大いにほめた。
この出来事が大きかった。これ以来、大きなパニックはなくなった。

保護者も驚いていた。上記の方針がよかったのである。適切な方針があり、適切な指導がなされた時に、問題行動はなくなっていくのである。


※この記事は2016年2月1日発行の『TOSS特別支援教育 第2号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

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© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

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