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<そうだったのか! 発達障害児への本当の対応>ADHD症状への具体的対応ライブ中継!④

(③つづき)

ノルアドレナリンは先ほど言った理由からいつもいつもは使えない。だからドーパミンというのを使いましょう。

1つ目、動かす。ドーパミンというのは、動かす、作業をさせることによって活性化させるものです。
 
はい、ちょっと皆さん立ってもらいます。(立つ)
 
背伸びして、ぐーって、手をブラブラブラ、はい、隣の人とタッチ。はい、座りましょう。
 
……今、体の力が抜けたでしょう。これはドーパミンが体の中に出るからなんです。ふーって深呼吸みたいになったでしょう。
 
2つ目に、高得点でほめる。高得点でというのが大事です。「120点」とか「AA」とかです。
 
3つ目が、見通しや目的を持たせる。
 
4つ目に、挑戦させることがとても大切です。だからドーパミンというのは、活動系なんです。
 
だから、体育の授業ではADHDの子供たちは症状が出ないですよね。
 
体育の授業はずっと活動しています。跳び箱なんかずっと跳んでいますね。
 
あれは、分かりやすいです。跳び箱をずっと跳ぶのは、達成感がその都度得られるからです。細かいフィードバックがあるということです。
 
ずっと動いてドーパミンが出ていて、高い段を跳べると周りから賞賛されるから、ほめられてどんどん気持ちよくなって、どんどん跳べるんです。
 
だから、それと比べて、教室でやるような活動量が少ない学習というふうになってしまうと、どうなるか分かりますね。
 
活動量がものすごく少ないから、別の部位を動かさないと耐えられなくなってしまうんです。 

さて、最後です。
 
安心感を与える脳内物質というのがあるんです。セロトニンと呼ばれるものです。こうすると安心感を出す脳内物質が出てきます。
 
「セロトニン5」もかなり有名になってきています。では、隣の方にセロトニン5を言ってみてください。(参加者、言い合う)
 
はい、1つずついきます。
 
まず、1つ目が「見つめる」です。相手の目を見つめる。
2つ目が「ほほえむ」。にこやか〜にほほえむ。
3つ目が「話しかける」。
4つ目が「ふれる」。ふれてあげる。
5つ目が「ほめる」ですね。
 
ちゃんと覚えてください。隣の人に言ってみましょう。見つめる、ほほえむ、話しかける、ふれる、ほめる。それぞれのポイントをお伝えしていきます。
 
まず、「見つめる」です。

見つめるときは必要なときだけやってください。

どういうことなのかというと、これはよく全国各地のこういうセミナーで話をするんですけれど、セロトニン5が大事ですと言うと、一所懸命勉強している子のところにセロトニン5をやっている方がいらっしゃいます。
 
それは、ダメです。一所懸命やっている子たちには必要ないです。

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見通しや目的を持たせるというのはとても大切です。
 
この授業で何が達成されればいいのか、どういうことができればいいのかと、授業に見通しを持てると子供は安心します。
 
視覚的な見通しもいいし、「ここまでやったら終わりだよ」とかにしてもいいですね。
 
不安傾向が強い子は「あと20分だからがんばろうね」というように、がんばる見通しを持たせることも大切です。
 
そうではなくて、子供が教師を見てきたときにやればいいんです。目を見てきたときに見つめてやればいい。それはセロトニンを必要としているサインだからです。これを提唱している平山諭先生がそういうふうに言っていました。
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次、「ほほえむ」です。
 
これは歯を見せて笑うのがポイントです。口を一文字に結んでほほえんでも、脳が「あの人はほほえんでる」と認知しません。人間の脳は、歯を見せて笑うことでより認知していくんです。
 
3つ目。「話しかける」はとても大切です。すごく大切です。特に、朝一番に話しかけてあげてください。
 
今日が日曜日ですから、明日は月曜日ですね。だからすぐ話しかけてあげてください。家庭が荒れている子供たちが安定しないんです。
 
朝出会ったらすぐ「おはよう」「昨日どこ行った〜?」「そうかそうか」って話しかけてください。そうすると朝からセロトニンが充填されます。
 
4つ目、「ふれる」。
 
たくさんふれるのがとても大切です。
 
タッピングと呼ばれる方法があります。ポンって肩を軽くタッチしてあげてください。他にも、ポポーンと、素早く2回タッチするのもいいです。ダブルタップです。
 
どうしてかというと、自閉傾向のある子たちにとって「頭をなでられる」というのは、実は脅迫的で怖い場合も多いからです。

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セロトニン5の使いどころを間違えないで欲しいです。
 
とくに「話しかける」というのがとても大切です。
個別の時間をしっかり確保してあげましょう。
朝、話しかけてあげる。
授業の中で、ペア活動をしながらのときに話しかけてあげる。
このように時間を確保して、しっかりと個別指導をすすめるというのがいいです。
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休憩時間にでもやってもらいたいんですが、こうやって(頭を上から押さえるようにして)頭をなでられるというのは、実はすごい圧迫感がありませんか?
 
上からやられると、手が出てくることに非常に抵抗感のある子供たちがいるんです。
 
ではどうすればいいか。肩とか頭をなでるにしても、横から差し出してあげるんです。こういうような配慮が必要な子供たちも多いんです。
 
以上、タッチするときのポイントでした。
 
5つ目、「ほめる」。
 
ほめ方というのも、いろいろ刺激があった方がいいです。
 
「すごいっ!」(大きな声)というのもそうだし、「すごい」(小さな声)もそうですし「すごーーーい」というのもそうですね。
 
「あ、それとってもいいね」というような言い方もできます。
 
ほめるというのは、何もかも強刺激でやればいいんじゃなくて、ほめる刺激の強弱を使い分けることで脳も様々に興奮するんです。
 
さて、それぞれのポイントをお伝えしてきましたが、教室の中で重要なのは、お伝えしてきた3つのバランスをいかに取っていくかということです。
 
セロトニン5だけでは物事を全部解決できません。特に、問題行動が生じてしまったときです。
 
例えば子供が立ち歩いているときに「セロトニン5が大事だから」とニコニコして話しかけたとします。
 
全然効果ないです。立ち歩いているときは。そんなときに、にこやかに「どうしたの〜?」なんて言ったら、子供の思う壺ですから。
 
子供のどういう状態のときに、どういう対応をするかというのも、アセスメントしていけば分かると思うんです。

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発達障害の子供たちの授業というのはセロトニン5だけでは成立しません。ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの3つをバランスよく保っていくということが大切です。

自分は優しすぎるなあと思ったら、ノルアドレナリンを少し強めに。
自分は厳しすぎるなあと思ったら、セロトニンをちょっと強めに。
自分はおとなしいなあと思ったら、作業を入れてドーパミンを出して。
……という感じです。
 
簡単に言うと、自分の性格とは反対のものを強めていくというのが効果的だと思います。
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小嶋悠紀
大学時代より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、県内の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に講演を行う。
NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。


※この記事は2016年2月1日発行の『TOSS特別支援教育 第2号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

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