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<あなたのお悩みを人気講師がずばり回答!>悩みが消えるQA 第3回

先生方から寄せられた質問に、人気講師が交代で回答するコーナーです。
被害妄想が強く、何かと訴えてくる子への指導について、今回は、小嶋先生がお答えします。

構成: 千葉県公立小学校 小松和重
回答:元長野県公立小学校 小嶋悠紀

質問

被害妄想が強い子の対応に困っています。

五年生男子で、特別支援学級に在籍しています。注意欠如・多動症の診断が下りていて、薬を服用しています。

家族は父母、兄1人、姉2人で父親が厳しいです。上の3人は優秀で、自分だけ叱られるそうです。母親は優しいです。
 
交流学級で授業中に発表するのですが、他の子が普通にその子を見ているだけで、「みんながにらみつけている」とその場で言います。 
また、特定の子に対しても、「先生、あの子がにらんで来ます」と言います。
また、休み時間の鬼ごっこで普通にタッチされたのに、「叩かれた」とも言います。
 
訴えがあった時には、関係ある子を呼んで、事情を聞きます。15分くらいすると落ち着きます。

交流学級の担任として、どのように対応していけばよいでしょうか。


回答 小嶋悠紀先生

この質問の状況に対しては、いくつかのアプローチが必要です。

①医療的アプローチ
②本人の認知力向上
③周りの子の関わり方
④コーピングスキルの向上

①に関しては、「自閉スペクトラム症の要素」が状況から垣間見られます。
特に五年生ですので「不安感」に対する対応は極めて重要です。
薬物療法で和らげることもできるので選択肢の1つとしたいです。

②に関しては、本人が誤解している部分もあるように推察します。
「過剰に不安になってしまっている」のです。
この場合、言葉だけで不安を和らげようとしても限界があります。
できるだけ状況や言葉などを図示するなど「視覚的な理解」で状況理解を促します。

③は、周りの子供たちの関わり方スキルの向上です。
感覚の過敏性から、「触られたこと=叩かれた」と感じている可能性もあります。
周りの子供の彼への関わり方スキルを向上させるのも大切です。

④は、不安になった後に、どのように自分の気持ちを回復させるかが重要です。
コーピングスキルと言います。落ちつける部屋、物、行動などを本人と探っていきます。
同じ状況になった時に、1人で気持ちを落ち着けるスキルを身に付けさせることも重要なのです。


※この記事は2016年10月1日発行の『TOSS特別支援教育 第4号』に掲載されたものの再掲です。一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。https://www.tiotoss.jp/

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