多動の子へのスマイル対応
他の子のために叱るのに、クラスの雰囲気が悪くなることありませんか?
それを防ぐ手立ての一つです。
大阪府私立小学校教諭 鶴田裕一
「お昼、逃走中しよ!」
「いいね!」
授業中に子供たちがする、授業とは関係のないおしゃべり。
それも一人ではなく、複数。
しかも、突然、席をまたいで話し出す。
そして、教師が話しているのに、立ち歩く。
こんな場面は、ありませんか?
私は、周りを褒めながら本人に気付かせようとしました。
しかし、それでも、うまくいかない時があり、最後には、叱責している自分がいました。
周りの子供たちのために声かけしているのに、その周りの雰囲気も悪くなっていきます。
そんな時に出会ったのが、小嶋悠紀氏の著書『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(講談社)です。
その中のあることを試していくと、その子たちがすぐに変わった、というわけではないのですが、明らかにクラスの雰囲気は変わりました。
ポイントは
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予告と見通し
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です。
【参考にした対応】
【実際の対応】
私の声かけは、【注意】でした。
小嶋先生の声かけは、【気付かせる】でした。
私は
○○さん、こっち向くんだよ!○○さん!(声が怒っている)
小嶋先生は
○○くん、今から話すよ〜!○○くん、いま、先生話してるよね!
私は、強引に向かせようとしていました。
【無理矢理】
小嶋先生は、強引に振り向かせようとはしていません。
気付かせようとしているだけです。
【見てね、と軽いイメージ】
温かさが、全然違います。
さらに、大きな違いは
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主語が違う
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です。
主語を自分自身に変えることで、私の言い方は柔らかくなりました。
主語が相手に向いている時は、悪いところだけをクローズアップしていたのです。
さらに、先に子供を主語にした声かけをしていて、それが予告となるので、ワーキングメモリが弱い子供にも有効です。
何も言わないよりも予告した方が、やるべきことを思い出して、自ら気付き、静かにすることも多くなります。
その結果、行動を褒めることもできます。
ただ、このような対応や、普段は問題のない対応がうまくいかない時は、ありませんか?
そんな時は、次のような対応も有効でした。
【参考にした対応】
【実際の対応】
① 周りを褒めて気付かせる
できている子供たちを褒める時、近づいて言う方がより実感を込めて褒められます。そして、伝わりやすいです。
多動の子供が、周りを見て行動を直したら、褒めて、その行動を強化できます。
関係が深まるに従い、多動を自ら修正する場面も増えて、より一層、効果的です。
② 活動や暗唱
全員を立たせたり座らせたりをゲームのように行ったり、「周りと話しておいで」と、積極的に動かしたりする時もあります。
子供たちは《合法的》に動けるので、とても楽しそうです。
この時、注意しないといけないのは
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教師も中に入り、望ましい行動や発言、頑張っている姿を褒めること
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です。
学力が低いお子さんがいれば、支援していきます。
さらに、このようなこともしています。
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暗唱テスト
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です。
先生が直前に言ったことや、「東北地方」など、今学んでいる事柄を、いきなり暗唱テストします。
数名を指名した後、覚える時間を短く与えます。
この時に、頑張りを褒めることもできます。
さらに、
(1)緊張感があると集中しやすい
(2)覚える時に、声(という動き)を出せる
という2つの効果も、多動の子たちに大きく作用するようです。
© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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