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多動の子へのスマイル対応

他の子のために叱るのに、クラスの雰囲気が悪くなることありませんか?
それを防ぐ手立ての一つです。

大阪府私立小学校教諭 鶴田裕一



「お昼、逃走中しよ!」 
「いいね!」

授業中に子供たちがする、授業とは関係のないおしゃべり。
それも一人ではなく、複数。

しかも、突然、席をまたいで話し出す。
そして、教師が話しているのに、立ち歩く。

こんな場面は、ありませんか?

私は、周りを褒めながら本人に気付かせようとしました。
しかし、それでも、うまくいかない時があり、最後には、叱責している自分がいました。

周りの子供たちのために声かけしているのに、その周りの雰囲気も悪くなっていきます。

そんな時に出会ったのが、小嶋悠紀氏の著書『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(講談社)です。

その中のあることを試していくと、その子たちがすぐに変わった、というわけではないのですが、明らかにクラスの雰囲気は変わりました。


ポイントは

■ ■ ■ ■ ■ ■
予告と見通し
■ ■ ■ ■ ■ ■

です。

【参考にした対応】

「××くん、今から話すよ〜」
「今、先生、話してるよね〜」
大切なのは、何としても注意を戻そうとするのではなく、「あっ、見てね」という感じで、あくまで「気付かせる」ようにすることです。

(小嶋悠紀氏「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全」講談社、Kindle 199ページ)

【実際の対応】
私の声かけは、【注意】でした。
小嶋先生の声かけは、【気付かせる】でした。
                      
私は
○○さん、こっち向くんだよ!○○さん!(声が怒っている)

小嶋先生は
○○くん、今から話すよ〜!○○くん、いま、先生話してるよね!
                           
私は、強引に向かせようとしていました。
【無理矢理】

小嶋先生は、強引に振り向かせようとはしていません。
気付かせようとしているだけです。
【見てね、と軽いイメージ】     

温かさが、全然違います。


さらに、大きな違いは

■ ■ ■ ■ ■ ■
主語が違う
■ ■ ■ ■ ■ ■

です。

主語を自分自身に変えることで、私の言い方は柔らかくなりました。
主語が相手に向いている時は、悪いところだけをクローズアップしていたのです。

さらに、先に子供を主語にした声かけをしていて、それが予告となるので、ワーキングメモリが弱い子供にも有効です。

何も言わないよりも予告した方が、やるべきことを思い出して、自ら気付き、静かにすることも多くなります。
その結果、行動を褒めることもできます。

ただ、このような対応や、普段は問題のない対応がうまくいかない時は、ありませんか?

そんな時は、次のような対応も有効でした。

【参考にした対応】

「大きな多動」が出てしまう子には、活動できる機会を増やして、
動きたい欲求を満足させてあげるといいでしょう。

(小嶋悠紀氏「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全」講談社、Kindle 197ページ)


【実際の対応】
①   周りを褒めて気付かせる
できている子供たちを褒める時、近づいて言う方がより実感を込めて褒められます。そして、伝わりやすいです。

多動の子供が、周りを見て行動を直したら、褒めて、その行動を強化できます。

関係が深まるに従い、多動を自ら修正する場面も増えて、より一層、効果的です。

②   活動や暗唱
全員を立たせたり座らせたりをゲームのように行ったり、「周りと話しておいで」と、積極的に動かしたりする時もあります。

子供たちは《合法的》に動けるので、とても楽しそうです。

この時、注意しないといけないのは

■ ■ ■ ■ ■ ■
教師も中に入り、望ましい行動や発言、頑張っている姿を褒めること
■ ■ ■ ■ ■ ■

です。

学力が低いお子さんがいれば、支援していきます。


さらに、このようなこともしています。
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暗唱テスト
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です。

先生が直前に言ったことや、「東北地方」など、今学んでいる事柄を、いきなり暗唱テストします。

数名を指名した後、覚える時間を短く与えます。
この時に、頑張りを褒めることもできます。

さらに、
(1)緊張感があると集中しやすい
(2)覚える時に、声(という動き)を出せる
という2つの効果も、多動の子たちに大きく作用するようです。


© 2023 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing.Printed in Japan

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/