初・小学1年生担任として、子供に響いた! 声がけ・接し方②
『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』から学んだ、今年度担任する小学1年生の子供にやって良かった声かけ・接し方を紹介します。
宮城県公立小学校教諭 菊池 陽実
前回に引き続き、ささエる編集長・小嶋悠紀先生の著書『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(講談社)から学び、小学1年生の「子供に響いた!」「超効果的だった!」と思った実践を紹介します。
【声かけ・接し方 その2】子供と「相談して決める」ことの大切さ
5月。運動会が終わり、学校生活にも慣れてきた子供たちに、一人一役当番について話しました。
「一人一役当番を決めます。一人一役当番は、例えば、黒板を消したり、プリントを配ったり、1年3組の仕事を1人1つみんなでやります。」
1年生らしく、なんでもやる気のある子供たち。
これまでにプリントを配る仕事を子供に手伝ってもらい、たくさん褒めたこともあったため、「早くやりたい!」とやる気に満ち溢れていました。
第1希望の当番になれないこともあるため、事前に当番表を配り、やりたい当番を複数選んでおかせました。
いよいよ当番決め当日。
全ての当番を黒板に書き出し、名前が書いてある磁石を貼らせました。
希望の人数内だったところから決定していき、人数が複数だったところはじゃんけんさせます。
先生が見守る中で公平にじゃんけんをさせ、トラブルを防ぐようにしました。
残念ながら第1希望になれなかった子供に、枠が空いているところで、次の希望を聞いていきました。
そこで、学級内で最もこだわりが強く、自分にも友達にも発言の厳しい女の子Aさんが言いました。
「時間割当番じゃないなら、もうやりたくない!!!」
私は、全体に読書かお絵描きをしていて良いと指示をして、Aさんとゆっくり話をしました。
「Aさんは、いつも丁寧に物事をこなすから、〇〇の仕事がぴったりだと思うよ」
残っている当番の仕事のおもしろいところ、Aさんの性格とその当番の合っていそうなところを1つずつ説明しました。
最後に、
「他の人が決めて、最後に残った当番をAさんがやるのと、この中(残っている当番の中)からAさんが自分で選べるの、どっちが良い?」
少し間を置いて、Aさんは言いました。
「…自分で選びたい。」
あのとき、Aさんと向き合わず、勝手に当番を決めたら、きっとAさんは担任への信頼を失っていたことと思います。
かと言って、Aさんの要求に、「仕方ないから、やりたい仕事をやっていいよ」としてしまっては、その後、別の場面でも要求はエスカレートしてしまっていたかもしれません。
①子供と相談して決める。
②しかし、子供の要求を全て受け入れるのではない。
この2つが、いかに重要であったかを実感しました。
Aさんは、残念ながら、次にしたじゃんけんでも負けてしまいました。
ですが、その後は怒り出すことはなく、クラスのみんなを移動教室などのときに整列させる「整列当番」になりました。
私が「廊下に並びます」と指示を出すと、「先生、整列させていいですか?」と意欲的に活動することができています。
次回は、自分の間違いを認められない子供への効果的な対応について、紹介します!
(第3回は2025.1.23公開予定)
© 2024 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/