まぁしいの一年生の特別支援教育③ 〜一筆箋は家庭との信頼関係を結ぶ〜
小学校教諭・インスタグラマー まぁしい
【小学校入学と同時に保護者とのつながりが希薄になる】
私の娘と息子は、現在保育園に通っています。
親が園に直接迎えに行く保育園。お迎えの時、担任の先生と、家庭での様子や保育園の様子を話すことが多くあります。
小学校に入学するといかがでしょうか。
小学校では、直接担任の先生と話す機会がぐっと減り、家庭との関係が希薄になりがちです。そのため、いざ「子供の支援の話を進めたい」となったときに、いきなり支援の話をして、失敗することがあります。支援の話の前に、子供の良いところを何度も何度も伝えて、信頼関係を築くことが大切だと思います。
その一助となるアイテムが、一筆箋だと考えています。私は下の写真のように、具体的な子供の頑張りをお手紙にして渡します。
一筆箋は子供が嬉しがるのももちろんですが、ご家庭から感謝されることが本当に多いです。
「家庭とは違う一面の子供の姿を知ることができて、とても嬉しいです」
という言葉をよく頂きます。本連載は、1年生の特別支援教育についての内容ですが、一筆箋は、すべての学年で応用可能です。家庭との関係を築くとともに、学級経営の要としても重要な役割を果たす一筆箋。今回は一筆箋の素晴らしい魅力と書き方をお伝えしたいと思います。
1 “当たり前”が素敵な行動になる
例えば、1年生の最初の時期には、このような一筆箋を書いていました。
「毎朝、教卓に座っている私のところに来て、挨拶をしてくれます。とても礼儀正しかったので、おうちでも褒めてあげてください。」
「給食準備の時のエプロンの着替えがとても素早いです。とても頑張っていますので、おうちでも褒めてあげて下さい。」
1年生だから当たり前にできていてほしい行動だと思うかもしれませんが、見方を変えると、とっても頑張っていることだと思いませんか?
特別な行動でなくてもよいのです。小さな体で当たり前のことをしているのを、先生の魔法の言葉で素敵な行動にして欲しいと、私は思います。
2 良い行動が伝播していく
一筆箋は、毎日帰りの会で渡しています。一筆箋を読み上げて渡すことで、「そうか! こんな行動をすれば素敵なんだ!」と子供たちに伝えることにもなります。説教いらずで、良い行動がどんどん増えていきます。
水飲み場で誰かが水をこぼそうものなら、たくさんの子供たちが雑巾を持ってきて拭いてくれます。落ちているゴミがあったら、すかさず拾ってくれます。良いことずくめです。
昨年度は329枚の一筆箋を書きました。毎日子供たちが帰りの準備をしている間に書くことを、ルーティンとしています。是非「一筆箋を書く時間」を決めて書いてみてください。書くと決めると、子供たちの良い行動を見付けようと、教師として「子供を見る力」も鍛えられます。
3 一筆箋の最後は「おうちでも褒めてあげてください」
一筆箋の最後の一言は、必ず「おうちでも褒めてあげてください。」で締めます。この一言をつけるだけで、子供はおうちでも褒めてもらうことができるので、2倍褒めてもらうことになります。
だからでしょうか、子供たちからよく「一筆箋ちょうだ~い」とおねだりされます。嬉しい悲鳴です。「お母さんがね、先生からもらったお手紙を冷蔵庫に貼ってくれたよ。とっても嬉しかったんだ」と報告してくれる子供もいます。
私も自分の娘や息子がお手紙をもらってきたら、壁に貼って飾るだろうなと思います。連絡帳では飾ることは難しいので、やはり一筆箋に書くということが特別な価値をもたらしているのだなと感じます。
【まぁしい・小学校教諭】
小学校教諭18年目。
11年間の講師生活を経て採用試験に合格。
講師時代の特別支援教育に関わる経験や、TOSSサークルやセミナーで学んだ教育技術などを活かした授業や学級経営をしている。
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省エネ学級経営をテーマに、子供たちに手応えのあった教育技術を中心に発信している。
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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