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<そうだったのか! 発達障害児への本当の対応>ADHD症状への具体的対応ライブ中継!②

(①つづき)

さて、教室の中を見てみると、ワーキングメモリーが占拠されてしまうものがたくさんありますよね。隣の人と話をしてください。こんなのはダメとか。お隣の方がお母さんならば、お家の中で気になるところをあげてみてください。

教室の中を見てみると…

(黒板の周りにあるものが気になる)
見ますね。黒板の周りは本当によく見ます。

(教師の棚の中)
教師の棚の中を見る子がいます。しかも、いつもと違うというところに集中しちゃう子がいるんですよ。
 
変化を見つけるのが得意な子は、アスぺルガー障害の傾向がありますからね。変化を見つけると、「あれ! そこ、なんで?」となります。だから、できるだけ環境を変えないということも大事なんです。
 
後ろの席に座っている子供は、一個一個が気になります。
手をあげてる子に対して、「あいつ張り切りやがって」とか。いちばん左の子に対して、「なんでこっち見てんねん」とか「むかついた」とか言って、カーッとなって行って殴ったりもしますね。
 
こっちとしてはびっくりしますよね。なんで殴るの? って。

教室の黒板周りを、私は、担任をもった初日に変えました。特別支援学級でも同じで、なるべく情報を制限していくというのが大事です。前がごちゃごちゃするだけでイラッとするそうです。そういうイライラをなるべく抑えてあげたい。

前面の掲示物を無くすだけで…

これらがADHD対応の基本原則1つ目「環境調整」です。 

環境を整えてあげましょうということです。 

この環境調整はとても大切です。学校風土も環境に入ります。学級風土つまり、学級の雰囲気や空気も全部環境調整の対象です。 

環境調整というと、どうしても、「いちばん前に座らせるのが環境調整」「個別のパーテンション、仕切りを付けてあげるのが環境調整」というようになるのですが、それは1つの要素でしかありません。 

そうではなくて、「彼らの周りの全部の環境」を整えてあげる必要があるんですね。現在、私の勤務する学校はとても雰囲気がいいです。 

支援員の先生が言っていました。「去年の騒ぎは何だったんだろう」って。全職員でだいぶ環境調整しました。私がやったこともあるし、いろんな先生たちが努力してやったのもありますけど、学校の雰囲気がものすごくよくなりました。 

クラス替えのクラス編成もかなり丁寧にやっていきました。 
上がってくる一年生の発達状況はどうなのか、保育園にどのようなことをやってもらえばよいのかということまで丁寧にやりました。 

そうしたら、学校風土が落ち着いてきました。いまは、本当に安定しています。そういうところも環境調整なんです。 
学校の風土が落ち着いてくると、発達障害の子供たちも落ち着いてくるんです。どの学校でも同じです。 

特別支援学級でも、学校が荒れていれば荒れる可能性は高まります。


小嶋悠紀
大学時代より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、県内の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に講演を行う。
NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。


※この記事は2015年10月1日発行の『TOSS特別支援教育 創刊号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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