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こだわりが強い子への対応

こだわりが強い子への教師の指示の内容。タイミングを間違わないことが大事。

東京都公立中学校教諭 守屋遼太郎



「『~しなくていい』と言われると、『~してもよい』と思ってしまう」
このように言ったのは、以前担任した中学1年生のAくんでした。私は最初、何が悪かったのか気付けませんでした。今考えれば、私の指示が曖昧だったことが分かります。「~をしない」と断言した形にすればよかったのです。
他にも以下のことがありました。
Aくんが教室の床拭き担当の時のことです。
「先生、どうやって床を拭けばいいの?」と聞かれたので、
「前から後ろ、後ろから前と往復しながら拭いてね」と指示をしました。
ところが、その言葉でAくんは混乱してしまいました。この私の指示ではおおざっぱすぎたのです。その言葉通りに行動すればできるような表現が必要でした。そこで、次のように言い換えました。
「フローリングの線に合わせて拭いてね」
するとAくんは明るい表情になり、生き生きと床を拭いてくれました。伝え方の大切さを改めて感じました。そして、そもそも事前に分かりやすく伝えておけば、Aくんを混乱させずに済んだと反省しました。

そんなAくんとの関わりで、最大の失敗が以下です。
ある日の授業中。私は校内を巡回していました。その時、私が担任するクラスの教室前に、Aくんを含めた数人の生徒を見かけました。その時間、担任クラスは体育の授業であったため、どうしたのだろうと思い、近づきました。すると、その生徒たちが教室に入ろうとしていました。
勤めていた学校では教室で女子が更衣することになっていました。教室内には女子の着替えが置いてある状態でした。そのことに気が付いた私は大きな声で、
「待ちなさい。勝手に入ってはいけない!」
と声をかけました。
事情を聞くと、忘れ物をしてしまい、取りに来たとのことでした。そこで女子の着替えが置いてあるからと説明し、女性の先生に忘れ物を取ってもらい、その場は収まったのでした。
その授業後、また担任クラスの教室に行くと、なぜかAくんが教室に入らないで廊下に座っていました。声をかけると、「勝手に入ってはいけない」と暗い表情でつぶやきました。その前の私の言動をそのまま受け取り、教室に入れなくなってしまったようでした。
何度か説明し、ようやく教室に入れるようになったのですが、その後もことあるごとに私の言葉が引っかかって教室に入れないでいることがありました。
改めて教師の言葉の内容を吟味すること、そして適切なタイミングで伝えることの大切さを感じました。そしてこのことは、特性のある子に関わらず、すべての子供たちに共通することだと学ぶことができました。


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