子供の「好き」を理解し、日常的に関わることが関係性向上の第一歩
日常的な関係性の向上が、「教えて褒める」ことの効果を倍増させる。
宮城県公立中学校教諭 工藤孝幸
多動性や衝動性が強い男子中学生を受けもっています。この子はワーキングメモリーが少なく、思ったことをすぐに口に出してしまいます。言い間違いによって周囲の注目を浴び、不適切な行動が強化されてきました。卑猥な言葉を連呼したり、立ち歩いたりして周囲に迷惑をかけることもありました。
この生徒への対応として有効な手立ては3つあります。
子供の「好き」を理解し、日常的に関わる
適切な行動を教え、できたらすぐにフィードバックする
不適切な行動にはできるだけ反応しない
最も重要なのは、日常的な関わりです。まずはその子が何を好きかを知り、話題にすることで関係を深めました。
関係が悪化している生徒でも、好きなことについてなら話してくれる可能性があります。これが第一歩です(長谷川博之氏の「子どもの好きを好きになる実践」)。
関係が良くなってきたら、適切な行動を教え、できた時には大いに褒めます。多動性や衝動性は、裏を返せば積極的であることを意味します。その良さを生かすためにも、正しい行動を教え、それができたらしっかり褒めることで成功体験が積み重なり、良い行動が強化されたと感じます。
不適切な言動はすぐには収まらないため、他人を傷つける場合を除いては、積極的に無視するようにしました。これは応用行動分析学で「消去」と呼ばれる方法です。
日常の関わりが深まることで、生徒は教えられたことをしっかり受け止め、好ましい行動が増えていきます。教えて褒めることの効果は、良好な関係性があってこそ倍増し、特別支援を要する子供にも効果的な指導につながると感じています。
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