小嶋悠紀の特別支援教育コンパス第43回 【日本で真のインクルーシブは実現できるのか?⑧】
2023年4月より「ささエる」編集長・小嶋悠紀の連載が始まりました!
「ささエる」本格オープンの11月からは毎月第1・3木曜日の更新となりました。今月は第5木曜日も特別に更新いたします。
この連載はメンバーシップ限定記事ですが、第1木曜日はどなたでもお読みいただけます。
※6月6日に無料公開記事へと変更しました。
5月26日にこの「ささエる」のメンバーシップ限定企画「ささエるフェス」が開催され、およそ250名以上のお申込みをいただいた。
本企画では「LD(限極性学習症)」に焦点を当てて、大阪の安原昭博ドクター、YCCもこもこで療育を担当されている笹野達哉先生と小嶋で講座を展開した。
今回「LD」に焦点を当てたのには意味がある。
日本では「LD」の対応やアセスメントがかなり遅れているのである。おそらくこの記事を読まれている先生方でも、次の問いに明確に答えられる人はあまり多くないと推測する。
「1、勉強が苦手な子とLDの子の明確な違いを述べてください」
「2、学習が苦手な子の支援とLDの子の支援の違いを述べてください」
「3、LDの子供への合理的配慮は、初期段階からしっかりと提供され記録されるべきだということの根拠を述べてください」
いかがだろうか。
これらに答えられないということは、日本の教育現場で
「LDの子供たちが『勉強が苦手な子』として片付けられてしまっている」
ということになる。
今、日本の特別支援教育は「教室や集団に入れない子供」「興奮しやすく問題行動を起こしている子供」に支援の焦点が当たっている。
これらの子供たちの支援は、様々な方法が確立しており、特別支援学級でのケアも手厚い。
アメリカの東海岸では、言語性LDの子供たちの学校や学級が存在しており、手厚く支援が行われている。LDのスクリーニングやアセスメントツールなども、とても多い。
上の写真は、ボストン周辺の公立小学校の授業中の様子である。この子は専門の先生に取り出しを受けており、この時間は言語性LDのケアとアセスメントが行われていた。
LDの子供たちの早期発見と早期対応はアメリカ東海岸では当たり前になっている。
実はLD子供たちの中にも、
「LDが起因となって教室に入れない子供・問題行動を起こす子供」
も多い。
総じて、LDの子供たちの発見とケアが、将来、日本の特別支援教育の課題となってくるだろう。
その未来に向けての貴重な1ステップとなる「ささエるフェス」になったと感じている。
●小嶋悠紀プロフィール●
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。
※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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