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<乱暴な行いをするあの子…どう対応する?>正しい行動を「教えてほめる」のが教師の仕事だ

暴力行為は止めないといけない。やさしく包み込むように行動を改善してあげることが大切だ。

兵庫県公立小学校教諭 堀田 和秀 

四年生のAくん。普段のAくんは明るく陽気な子だったが、一度キレてしまうと「暴走してやる!」と言って、周りの子を叩いたり蹴ったりしてしまうことがあった。
Aくんの行動に対して、「強く叱責すること」はNGである。きつく叱れば叱るほど、Aくんはニヤニヤして、さらに暴力を振るった。AくんはAくんなりの理由で行動している。頭ごなしに叱っても、効果は薄い。

私が取った対応は、下記である。

① 抱きしめ、行動を止める
② キレたときの状況を書かせる

まず、乱暴をする子の場合、周りの子に危害が及ばないようにする必要がある。
Aくんがキレたときは、私がAくんを抱きしめることで、行動を止めた。
止め方は、いろいろ試したが、抱きしめて止めることが最も効果的だった。
しばらく抱きしめていると、Aくんの体の力が抜けていくのが分かった。
 
次に、キレたときの状況をプリントに書かせ、クールダウンさせた(プリントは、小嶋悠紀氏作成の「アンガーログ」を使用)。言葉で説明させると、説明している言葉に、さらに興奮することがある。
Aくんは、「書く」作業が好きだったこともあり、キレた理由を「書く」ことでクールダウンできることが多かった。

その他、「喧嘩両成敗」という方法も効果があった。

この対応を続けた結果、二学期以降Aくんは、キレることはあっても、暴力を振るうことは少なくなった。


 【特徴】
・小学四年男子 診断なし 学力は高い。
・授業中は、やることが分かれば集中して取り組む。
・ 作業内容が分からないときは、「何するの?」と何度も聞いたり、教室内をウロウロしたりすることがある。
・休み時間に友達と遊ぶと、トラブルを起こすことが多い。原因は、「ルールの行き違い」がほとんどである。
・キレると、手当たり次第に人や物を叩いたり、蹴ったりする。


NG 対応 強く叱責して、行動を止めようとする

Aくんが暴力を振るうのにも、Aくんなりの理由がある。頭ごなしに叱っても、怒りが増幅するだけのことが多い。また、「強い叱責」をすることで、Aくんは「強く構ってもらった」と感じている可能性がある。この場合「強い叱責」をすればするほど、強い刺激を与えていることになる。教師の対応がAくんの不適応行動を強化している可能性もある。
 

効果のあった対応1 抱きしめることで、行動を止める

暴力を振るう危険があるときは、Aくんを抱きしめて体を包み込み、行動を止める。もちろん、笑顔はキープする。体が接触することで、神経伝達物質「セロトニン(安心感)」が出て、徐々に落ちついてくる。
 

効果のあった対応2 キレたときの状況を「書かせる」

「①キレた理由は何か」「②今、どんな気持ちか」「③怒りのレベル」「④そのときどんな対応をしたのか」を具体的に書かせる。1つ書けるごとに、花丸をつけてほめる。書く作業とほめられることで、落ち着くことが多い。


※この記事は2016年2月1日発行の『TOSS特別支援教育 第2号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
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