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<ミニ特集>ICTと生成系AIと発達障害の子供②

「シフティング」に役立つICT・GPT

神奈川県公立小学校教諭 水本和希

「シフティング」とは、


「切り替え」


のことである。「読む! こじてぃnote」の連載に分かりやすく解説されている。
 今やっている活動から、次の活動に切り替える。この時に「シフティング」のスイッチがうまく入れば、すんなり学習や活動に入ることができる。
 ICTは、「シフティング」のスイッチを入れる際に、とても有効だ。ノートやモノを使う学習や活動にはスイッチが入らない児童が、ICTを使うと入るという事例を何度も見てきた。
 以下、小学校低学年におけるOK事例とNG事例を紹介する。

1、算数「おおきなかず」
ICTを使って、「シフティング」

 二年生「おおきなかず」の単元。
 単元の第1時は、100をこえる数を数える学習である。教科書の扉絵で、235個のクリップを数えさせる。
〈NG事例〉
低学年は、実体験を重視する。私は、100をこえる数え棒を準備した。班ごとに配って、何本あるかを数えさせた。すでに10や100の概念が分かっている子供たちや班は、10ずつのまとまりにして、効率よく数えていく。
 しかし、中にはバラバラに数えている班もある。発達障害傾向のあるTくんは、棒を並べたり、積んだりして、遊び始めた。
 算数は苦手ではない。しかし、


① 細かい棒を数え、
② 10ずつのまとまりに分け、
③ いくつのまとまりがあるかを数える。


 これらは、「シフティング」が苦手な子にとっては負荷が大きかった。100をこえる数に作業の見通しがもてず、ストレスもたまっただろうと思う。
〈OK事例〉
 次の時間、教科書の画像をロイロノートで配付した。ICT活用である。


① タブレット端末上で数え、
② 10ずつのまとまりをペン機能で囲み、
③ いくつのまとまりがあるかを数える。


 えんぴつで書き込むと、間違えた時に消すのが難しい。えんぴつの跡が残ったり、力加減によっては破れたりしてしまう。その点、ICTを活用すれば、何度でも消せる。破れることもない。
 Tくんは教科書画像を配付すると、すぐに取り組み始めた。「シフティング」のスイッチが入ったのである。さらに、クラスで1番はじめに、書き込みを完成させた。達成感を感じる1時間だった。

2、 ChatGPTとの出会い初めてのものに対する「シフティング」の難しさ

 ゴールデンウィーク前。
 子供たちにChatGPTの画面を見せ、その場でやり取りをした。
「ChatGPT」「最近の、AIとよばれるあたらしいきかいです」と簡単に説明。
 その上で、「みんなにもGWのことを聞いたので、ChatGPTにも聞いてみます」と言って、質問を入力した。
 子供たちはChatGPTが即座に長文で返してくれるのが楽しかったようだ。
 1つ1つに、盛り上がっていた。
 すんなりと適応していた。
〈NG事例〉
 だが、Tくんには、受け入れられなかったようだ。やり取りへの感想を言う場面で、ネガティブな言葉を連発。
 今思うと、彼には新しいものへの不安と興味が入り混じっていたのかもしれない。もっと趣意説明が必要だった。
 まだOK事例はない。これから新しいい技術に出合う子供たちに、どんな対応が必要か。模索の日々である。


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