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<写真でわかる! 特別支援学級の教室づくり>教室を構造化し、視覚的指示によって自閉症児が1人で活動できるようにする

物理的構造化により、それぞれのエリアで行う活動を明確にする。余分な刺激を減らし、作業内容を見て分かるようにする。

富山県特別支援学校教諭 五十嵐 勝義


前面の黒板には何も貼らない。視覚的な刺激を減らすことが極めて重要。1人に1つ、可動式のホワイトボードを用意。スケジュールなどで使う。必要がないときには、教室横に移動。ワークエリアと余暇スペースは教室の後ろに配置。

スケジュールの個別化

1つの活動から次の活動へ移行できるように「見て分かる」ものを掲示する。「国語」「算数」のように文字で分かる場合から、写真や絵、もしくは具体物で分かる場合など一人ひとりの実態に合わせて作る。活動が終わるたびに、そのスケジュールカードを取り外していくことが有効である。

ワークシステムの工夫

「①どれくらいやるのか」「②何をするのか」「③いつ終了するのか」「④終了したら何があるのか」の4つを示すことが大事。左の写真では、1つの引き出しの作業が終わったら、引き出しごとに左の空いたところに入れる仕組みになっている。終わった引き出しをなくしていくことで、作業が終わったことがより分かりやすくなる。写真右下の「パズル」は、作業終了後の楽しみになっている。

ワークエリアの工夫

1人で作業を進める自立のワークエリア。刺激の少ない壁や黒板に机が向かうように配慮する。外からの刺激をブロックするために、さらにカーテンやついたてが必要な場合もある。

ワークエリアでの作業の工夫


 左のワークエリアで行う作業の一例。厚紙をクリップではさむ課題。シールの色で、はさむ箇所が分かる。視覚的な指示で、1人で作業ができるようになっている。
■参考文献:『お母さんの「敏感期」』相良敦子著(文藝春秋)

余暇スペースの工夫

日頃から多くの絵本を用意。数百冊を常備している。絵本の表紙が見えることで自分から読みたくなる。「ものの絵本」「子供の日常生活に沿った絵本」「脳トレ絵本」などが好評。他にも、簡単なカードゲームやボードゲーム等、子供が一緒に遊べる道具が置いてある。 
■参考文献:『自閉症の人たちを支援するということ』(朝日新聞厚生文化事業団)


※この記事は2015年10月1日発行の『TOSS特別支援教育 創刊号』に掲載されたものの再掲です。
一部、名称等が当時のものになっていることがありますこと、あらかじめご承知おきください。

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/