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<ミニ特集>ICTと生成系AIと発達障害の子供①

ICT活用・生成AIの登場は発達障害のある子供にとっては支援のチャンスである

NPO TOSS理事 (株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表 
小嶋悠紀

 ChatGPTに代表される「生成AI」が教育界でも様々に話題になっている。
 この生成AIは、発達障害の子供たちについては、
「積極的に活用の方向がよい」
というのが私の意見である。
 特に、発達障害のある子供たちは、
「コミュニケーションに課題を抱えている」
ことがほとんどであるが、
「自分の世界や考えていることを独特の言語で表現する」
ことは得意な事が多い。私も自身の経験の中で、独自の世界観の小説を書いてくる自閉症の子供に多く出会ってきた。
 活用例として考えられるのは、例えば最近注目されている、
「AI芸術家」
である。たくさんの作品がネットでもあふれている。すでに職業として成立している人もいる。
 実は、彼らの多くは、
「全く絵が描けない」
のである。
 では、なぜ職業として成立するのか?
「プロンプト(指示)の書き方」がよいのである。芸術作品を完成させるプロンプトを書く技術に優れているのだ。
 このような「プロンプト」に関する職業として、AIに入力するプロンプトを専門に書く、
「プロンプトエンジニア」
という職業まで出始めている。
 注意欠如・多動症や自閉スペクトラム症特性のある子供たちが、このプロンプトを使いこなしていたら?
 ワクワクしないだろうか?
 もしかすると、次世代の世の中は、このような発達障害の子供たちが書く「プロンプト」によって構成される魅力的な世界かもしれない。積極的にAIに触れさせていきたい。


●小嶋悠紀プロフィール●
本誌編集長
NPO TOSS理事
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。
主な著書に『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(かなしろにゃんこ。氏と共著・講談社)がある。


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