見出し画像

初・小学1年生担任として、子供に響いた! 声がけ・接し方①

『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』から学んだ、今年度担任する小学1年生の子供にやって良かった声かけ・接し方を紹介します。

宮城県公立小学校教諭  菊池 陽実

 今年度、初めて小学1年生を担任しました。
 元気いっぱい、やる気いっぱいでかわいらしいけれど、さまざまな課題を抱える子供たち。
 しかも、今まで担任してきた中で1番人数の多い、35名の子供たちを担任することとなり、個性あふれる子供たちに圧倒される毎日です。
 
 そんな子供たちを担任することが決まったのは、昨年度3月末。
 熟読したのは、ささエる編集長・小嶋悠紀先生の著書『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全』(講談社)でした。
 4月から今まで、この本から学び、実際にやってみて、「子供に響いた!」「超効果的だった!」と思った実践を、全3回に渡ってご紹介します。

【声かけ・接し方 その1】厳しい叱責ではなく、「気付かせる」ための指示と確認

 4月、まず困ったのは子供の注意が散漫になることでした。
 35人全員に、前を向かせて、話を聞かせるだけでも一苦労。
 それを叱責するのではなく、「自分で気付かせる」ための工夫を考えました。
 
 例えば、ひらがな練習帳に取り組む場面。
 「ひらがな帳を開きます。」では、開けない子供もたくさんいました。
 そこで、「今日やるページ。開いたら、先生に見せます」と指示を変えました。
 両手でひらがな帳を持って先生に見せることで、活動が加わり、多くの子供が開くことができました。
 また、その後、「1号車、速いな。合格!」と褒めると、隣で開けずに困っている友達を手伝ってあげる様子も見られるようになりました。
 活動のスタートがそろうと、その後も流れに乗って、多くの子供が授業に参加できるようになりました。
 
 また、個人の行動についても「気づかせる」工夫をしました。
 無意識に鉛筆を机にぶつけて音を出したり、椅子に膝を立てて座ったりする子供がいました。
 「うるさいよ! 音を出しません」「姿勢が悪い!」という叱責ではなく、「近づいて、触れる」方法を取りました。
 鉛筆をカタカタする手をそっと触ります。それだけで、ほとんど止めることができます。
 膝を立てているのであれば、そっと足をタッチすると、ストンと足を下ろしました。
 
 また、一緒に生活していて、1年生は友達への注意が厳しくなりやすいと感じました。
 音楽の授業中。鍵盤ハーモニカを吹かせると、「やめ」と指示をしても、歌口を口に入れ続け、音を鳴らし続けます。
 そのとき、きちんと指示に従う子供は「うるさいよ!!!」「先生『やめ』って言ってるよ!!!」と大きな声で言い始めます。
 もちろんそれは、指示に従うすばらしい行動ですが。でも、子供たちには、
「隣の席の子が吹いていたら、『とんとん』と優しく肩を叩いて、『歌口置いて。』と教えてあげなさい。」
と教えました。
 大きな声での指示は、一人ひとりには届きません。
 子供にも「気づかせる」方法を教えることで、友達関係が少し円滑になりました。
 
 「気づかせる」工夫をすることで、穏やかで、その中でも規律の守られた雰囲気の学級づくりができるようになりました。
 次回は、こだわりがあり、自分の意見を曲げられない子供への効果的な対応について、紹介します!

(第2回は2024.12.26公開予定)


© 2024 TOSS,The Institute for Teaching-Skill Sharing

※この記事へのお問合せはTOSSオリジナル教材HPまで。
https://www.tiotoss.jp/