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小嶋悠紀の特別支援教育コンパス第59回 【あらためてADHDとASDの教育現場における課題を考える⑫〜ASDの子供たちが起こす課題への対応(7)〜】
大好評の編集長日記「小嶋悠紀の特別支援教育コンパス」は、毎月第1、3木曜日に更新されます。
特別支援教育の第一人者である小嶋編集長の貴重な知見が惜しみなく盛り込まれた、読みやすいのにDEEPな知識まで得られる連載です!
この連載はメンバーシップ限定記事ですが、第1木曜日はどなたでもお読みいただけます。
7 過剰な一貫性の要求
変化を嫌うというのは、発達障害の子供たち特有の特性かもしれない。
特にASD(自閉スペクトラム症)の子供は、一貫性を求める傾向が非常に強い。
「同じであってほしい」
「ぶれないでほしい」
という思いが過剰になると、日常生活にも大きな影響が出る。
【チェック1】スケジュール変更のたびにパニックになっていないか?
一貫性を過剰に求めると、スケジュールに過敏になり、変更のたびにパニックになってしまう。ASDの子でも抵抗力のある子供はいるが、頻繁にパニックになる場合は、丁寧なケアが必要になる。
【チェック2】大人の言うこと1つ1つの違いが気になって「言っていることが違う!」とパニックになっていないか?
特に「約束」や「ルール」などについて少しの違いがあるだけで、
「なんでだ!」
「ズルい!」
「言っていることが違う!」
とパニックになる。「どうしても納得に時間がかかる」などの状態になりやすいかどうか、見極める必要がある。
【対応1】大人の言うことや、やる事に一貫性をもたせるのは基本
これは本当に基礎的な対応になる。大人の言っていることに一貫性があり、ブレないことは、ASDの子たちの安心感を大きくすることができる。
特に気をつけたいのが「約束」である。
約束にはかなり敏感なので、約束したことと絶対に違うことや、他のことを押し付けないようにしたい。
【対応2】「言っていることが違う!」には、「なんでそれが変わってしまったのか」「どんな意味で調整されたのか」を一緒に探す
大人が一貫性をもっていても難しいのは、「子供間のブレ」である。
遊びや約束、そのルールなどは子供たちの間で「微妙に変更」をされてしまうことがある。これは「調整」ということなのだが、ASDの子供たちには分かりにくい。
しかし、「調整」というのはASDの子供たちにもちょうど良い言葉になる。
「なにを調整しようとして、その違いが出たのかな? 一緒に考えてみようよ」
と、自分主体の思いではなく、「相手がどのような意図があるのか?」という視点を与えるきっかけになる。
また「なんでルールが途中で変わったんだろうね? 一緒に考えてみようよ」と、そのことについて一緒に納得できる点を考えるのも効果がある。
【対応3】予定の変更を安定させる効果的な声がけ7
下記の7つは、私が現役時代から使っている予定変更の際の声がけである。
「今から予定が変わるよ。でも、大丈夫! どう変わるか説明するね。」
「予定が変わるとドキドキするよね。でも、次に何をするか分かれば落ち着くよ!」
「〇〇の後に□□をするよ。終わったら好きな△△をしてもOK!」
「予定が変わるのはびっくりするよね。でも、〇〇をする時間はちゃんとあるから安心してね」
「思っていた通りにいかないとモヤモヤするよね。新しい予定も楽しいかもしれないよ!」
「どうして変わったのか気になるよね。理由を一緒に確認してみよう!」
「予定が変わると不安になるよね。じゃあ、一緒に次のことをイメージしてみよう!」
この中のどれかを使ってみてほしい。また、慣れてきたら、担当されている子に合わせてアレンジをしてみると、さらに効果的だろう。
●小嶋悠紀プロフィール●
本誌編集長・元小学校教諭
(株)RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS 代表取締役
大学当時より発達障害の青年たちの余暇支援活動団体を立ち上げ発達支援に関わる。卒業後、特別支援を要する子供たちへの支援を中心に講演活動を行う。長野県養護教諭研究協議会において、全県の幼・小・中・高・特の1000名の養護教諭に特別支援の講演を行う。NPO法人長野教師力向上NETでも発達支援者育成部門を担当。
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